カテゴリ:私的考え・つぶやき
「公差」という言葉をご存知ですか?
辞書によると 「機械加工で、合格とされる最大寸法と最小寸法との差。許し代。」 とあります。 わかんないですよね。私も会社に入って始めて知った言葉です。 本題に入る前にちょっと説明すると、 私はもともとIT系の企業に勤めておりました。 ITといっても色々あるのですが、私のいた事業部は、製造業が お客様で、「モノづくり」をする上で助けとなるようなソフトウェアの 販売やサポートなどを行っていたのです。 たとえば、モノを作って売ると一口にいっても、ざっくりいうと、 まずどんなものが売れるのかを考える人たちがいて、 考えたものをどうやったら作れるのか設計する人たちがいて、 その設計図どおりに作る人がいて 出来上がったものを販売する人たちがいたりするわけです。 日本製の製品は質がいいと評判ですが、それはこういった製造業の 人たちが「いい品質のものを作ろう」とがんばってくださっているから なのですが(どうしてもお客様意識が抜けない。。) 「いい品質」というのが曲者です。 「いい品質」とは、なにか。。 デザインがいいとか、安全性が高いとか、機能に優れているとか、 先進的だとか、まあ色々な価値がありますが、「最高」であれば 言いというわけではありません。 ここで、「公差」です。 公差とは、わかりやすくいうと、部品とかを作る時に「このくらいなら 設計図よりもずれちゃってもいいよ」という許容範囲です。 多少大きかったり小さかったりしても、機能的に問題なければ 目的は達成されるから、「ずれ」を許すのです。 そもそも設計図どおりに1ミリもずれることなく作ることは不可能な ことで、ずれを許さないでいると、不良品の山ができたり、結局 生産コストが高くなったりして、面倒です。 だから、「いいあんばい」にすることが公差です。 作ってる人たちだって、不良品の山が築かれたら 「いいじゃんか、それくらい」とか思ってモチベーション下がりそう。 仕事をしていたときに、その「公差」というのがあると知ったとき 「そうか!キッチリといいものつくりゃあいいってもんじゃないんだなあ。 あんばいが必要なんだなあ。」という風に思ったことをやけに 覚えています。 完璧にやるからいいわけではないんだな。 今日、親愛なるセラピスト、まりさんのバッチフラワーのセッションを 受けたのですが、彼女から受け取ったものを色々考えていたら、 なぜかふと「公差」を思い出した。 自分に対しても、他人に対してもそういった公差を持つことが 大事なんだろなって、あらためて思った。 夢や理想なんかがあって、自分なりの設計図、宝地図があるんだけど、 あまりにそれにとらわれすぎてもしょうがない。 本当に大事なことが消し飛んじゃって、「思いどおりに進まない」 「思い通りのリアクションが得られない」 ことだけに目が行っちゃったりして。 マコさんも、「正しすぎないこと」っていうタイトルで日記を書かれて いるのだけど、それもまさに公差だよなあ。 正しいからいいというわけではなく 完璧だからいいというわけでもない 遊び心とかゆとりとかともいえるのかもしれないけど。 まじめさとか、真摯な姿勢とか、そういうものはすばらしいと思うし、 なにも適当にやることがいいとか、うまく手を抜くのがいいとか そういう話なわけではない。 職人の仕事的なストイックさとか、丁寧さとか、そういうものには あこがれる。 不器用だけど一生懸命とかも素敵なことだ。 だけど、不必要な完璧さは、時に邪魔だよね。。。 「納得いかない」という言葉とかもね。 新しいことや自信の無いことは特に用意周到にしたいし、 安心できる手札をたくさん持っていたいけど、そうこうしている うちに「まだだめだ、まだだめだ」と思ってしまったり「まだ そんな時期じゃないのかな」とか変に腑に落としてしまったり。 未熟な姿って、見せるの恥ずかしいしね。。。 でも、 はじめることよりも、続けることのほうが難しく価値があるのだから、 まず歩き出して、色々吸収して、いいものにしていければいいし、 自分や他人に対しても、そういった気持ちで緩やかに接して いければいいはずなんだな、と思うようになりました。 やっぱ、日々爆発的に成長する子どもをみているからそう 思うようになってきてるのかなあ。。。 子育てなんて、ほーんと思い通りになんていかないわけだし 「パーフェクトチャイルド」を求めるなんてばかばかしいよなあ。 おおらかになりたいと、心から思う最近の私です。 と、思っていたら、仕事から帰ってきただんなが、信頼できる上司に 「全戦全勝しようと思うな」というようなことを言われたそうだ。 それも同じこと、だよなあ。 シンクロ。 そういえば、私が好きな椎名林檎の歌は「正しい街」というタイトルだった。関係ないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.02.04 23:28:02
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