市松模様と桂離宮
そのすべては市松模様から始まった。フランス人でありイスラエル人でもあるアリエルさんはペンシルベニア大学で教える建築学博士。彼と日本の結び付きは、桂離宮を世界に知らしめたブルーノ・タウトの本だった。彼が日本を最初に訪れたのは北京オリンピックの年、北京の建設物を研究視察に来た帰りだった。そこで発見した日本文化と専門の建築、建築家隈健吾の日本文化の建造物への取り入れだった。帰国後、日本の事を知りたくて、日本映画を見、日本書物を読み、日本建築を研究し、今では日本の歴史トーキングの中での私の間違いを正すほど日本通になってしまった。桂離宮のブルーと白の市松模様のふすまなんてずっと昔、訪れたので忘れてしまったのに彼が教えてくれた。修学院離宮の市松模様もしかり。鎌倉観光後は、そんなわけで私の頭から日本の文様が離れ無くなってしまった。勉強不足で、あるいはお土産に興味のない外国人はものの15分も有れば通り抜けてしまう小町通り。お香屋さん、食器やさん、おせんべい屋さん、鎌倉彫屋さん、箸屋さん、蕎麦屋さんの引き込み路地、おまけにトトロのお店、そのすべてに興味を示して立ち止まり、入店した。彼なら絶対興味を示すと思ったいつもなら女の子しか連れて行かない「社頭」という名の和紙屋さんに案の定興味深々。ものすごくたくさんの和紙や千代紙の中で、紙の材質と、文様に魅了されていた。店員を質問攻めにして(店員さんもすごく英語が上手で隈健吾を知っていたので、意気投合)最終的に買ったのは真っ白い手すき和紙の漉きが市松模様になっているものだった。漉きの薄い部分は透き通るぐらい薄い。そのたった1枚1,050円の和紙を大切に包んでもらう様に注文付けて持ち帰った。夫の運転する車で今日ホテルに送りながら、ふと高速道路の壁を見ると、打ちっぱなしのコンクリートが市松模様になっていた。「何を見ても市松模様!」私が言うと3人で大笑い。写真は水禽屈の竹の穴から音を撮るアリエルさん、(音を撮る?アリエナイなんてね。ちなみにiPhoneでも録音挑戦していた)下の写真は彼の目の興味の先を撮ってみた。