あんなに気を付けていたのに惨敗! その1
ジャカルタに行く前、インドネシア人の友人たちが声をそろえて「すりには気を付けろ、1人では歩くな、だまされるな」という。十分気を付けなければと心に固く誓って到着したジャカルタ空港。そのアパートに泊めてくれるという若い友人が事細かにジャカルタ到着後の入国手続きを教えてくれていた。降機後、空港内をイミグレーションに向かって人々の後を付いて歩く。インドネシア人がまっすぐ進んでいく途中で何人かが両側に別れて行った。「ははあ、ここで外国人はビザを買うんだ」と、そのロープで仕切った列に並んでいると、何人かが時々、パラパラとロープを持ち上げてくぐり、元来た方に戻るじゃないか。良く見るとさっき歩いた少し手前にVISAを買うカウンターが有った。「そうか、先買わなきゃ」私もロープくぐって米ドル25$でビザを買って、またロープの列に戻った。ハンコを押してもらってVISAの受付完了。途中一人の係官がさっとパスポート見てOKと言った。「あれ? イミグレーションパスしていいの?今のがそう?何にも聞かれなかったし」心配のあまり空港職員に聞いた。「大丈夫です。もう通りました。次はかばんのピックアップです」と案内してくれた。ぼろい!思わずうなる程のごちゃごちゃした場所にターンテーブルが並び、私の荷物はもう並んで置いて有った。それを持って関税へ。税関は何処?外国人が皆うろうろ。職員がお客全員からせっせと申告書類を集めるが誰にも何も聞かない。書類さえ見ない。そんなんで良いの。そのすぐ横にまたエックス線の荷物検査。だれが係員かもわからない。入国に必要なのだろうか。戸惑いながら荷物を乗せる。待て待て、ここでわいろを要求されることもって書いてあった。気を付けよう。ここでエックス線のゴム蛇腹の先で急いで荷物を拾わないと盗まれることが有ると書いてあった。気を付けなきゃ。頭の中を必死でガイドブックの文章が駆け巡る。ショルダーを乗せ、スーツケースをターンテーブルに乗せようと奮闘していると「大きすぎるから乗せなくていい」と言われた。じゃあ何の為のエックス線検査じゃ。関税無事通過。さあ、インドネシアやってこい!戦いに挑むような高揚感で出口を出ると人々は右か左に分かれて行った。ここは何処の空港もほぼ同じ風景。違うのは真正面に宝くじ売り場のような小さなブースが15ほど並んで、それぞれ2人組の人が中から。おいでおいでと手招きしている。招き猫じゃあ有るまいし、いや招き猫か。ここが両替え?絶対怪しい。でもここしか見つからない。そして正直そうな女性2人のブースを選んでお金を替えた。日本のお金は強い。たった何枚かでもすごくたくさんの現地札になって戻ってくる。それをものすごい速さで女性が数える。不信な目を向ける私に、もう一度目にもとまらぬ速さで数えてお札をよこした。「レシート頂戴」手元にもらった名刺より小さいレシート、印刷が薄くて良く見えない。ガイドブックにはここで猫ババされるから数えろと有る。だけどここは出口で待っているたくさんの人の目にしっかり曝される場所。私がそのお金をどこに仕舞うかもわかってしまう。こんなところでまごまご数えていられない。一抹の不安を覚えるも(一抹なってもんじゃ無いけど)数えるのを諦めて、急いでバックにしまい、出口で友人が手配しておいてくれた、私の名前を書いた紙を持つドライバーさんに巡り会った。にこにこしたドライバーさん、空港を出て、道路の脇で車を取って来るから待てという。心細そうに見られないように、心の中を隠して毅然と立っている間にも、「タクシー待ってるの? 荷物手伝おうか?」寄って来る人が・・・。どんなに隠したって、おばあさんのひとり旅、「不安です。心細いです。」というお札が顔にでかでかと貼ってあるに違いない。替えたばかりのルピアを入れた、たすき掛けのバックをぐっとお腹の前に引き寄せた。大都会ジャカルタの街をドライバーさんの車で友人の会社にたどり着き、友人の顔を見たとたん、顔に貼りついた不安お札が、ぱらぱらと剥がれ落ちるのを感じた。先ずはたどり着いた。良かった。写真は到着した夜連れて行ってもらった、現地駐在員の奥様達が良くいくというしゃれたレストラン。庭園や離れのパーティールームも有るクマン地区の素敵なレストラン。手前のテーブル上は木のドアをまねたメニュー。夜、友人のアパートのキングサイズベットの上で両替えしたお金を数えたら、やっぱりね。日本円で4,000円も少ない。教訓 空港でお金は最小限に替える。お金は市中で両替えがベスト。他の外国とはまるで反対で、空港敷地内であるからと信用しては絶対いけない。初めての国の現地通貨を数えるのには慣れる時間が必要なのだ。そして、おばちゃんを信用してはいけない。女性のいるブースだから大丈夫なんて甘い。女はしたたかなのである。