とうりゃんせ とうりゃんせ
とうりゃんせ とうりゃんせここはどこのほそみちじゃてんじんさまのほそみちじゃぴよ、ぴよ、ぴよ・・・「先週確かここ来たばかりだなあ」とか思いながら、中華街の朝陽門からホテルニューグランドの横を、先週と違って少し寂しいくらいのヨコハマの港に向かって歩いていた。一緒に歩くのは夫とフランスから来たジルダ、そして日本人の彼女のチカちゃん。ニューグランドの前から山下公園に渡る横断歩道で突然ジルダが歌い出したのだ。とうりゃんせ、とうりゃんせ・・・・・・ぴよ、ぴよ・・・彼の知っている日本語はあいさつ程度とずっとフランスのブレストで習っている柔道の「まて」とか「うちまた」とかいう技の日本語だけだ。だから、「とうりゃんせ」の部分もハミングで歌った。「10年前はこの音楽だった。でも今は違う曲だね。それにピヨピヨばかり」フランス、イギリス間のクルーズ船で働いたり、ニュージーランドで働いたりして、すっかり上達した英語でそう言った。なるほど気が付かなかったなあ。どうやら、歩行者信号の横断音楽はいつの間にか童謡から、鳥の鳴き声に変化したらしい。こうやって何気なく静かに気が付かないように、徐々に世の中を変えられて行くと恐ろしいものだ。外国人に教えられた。10年前に再来日して2か月我が家にステイして、市役所に毎日インターシップに通っていた頃、市役所の前の信号は「とうりゃんせ」だったんだそうだ。14歳の時に最初に2週間我が家にステイした時は柔道の交流練習に近くの市立中学の柔道場で参加して、日本人の小さな女の子に簡単に投げ飛ばされていたよね。ずっと背が高くなってたくましい大人の男になった背中を追いながら、信号を小走りに渡った。ぴよぴよぴよ、急げ急げ信号変わるぞ、ぴよぴよ。