ピラタス登山
三日目いよいよ旅の目的のハイキング初日。ホテルのあるチューリッヒ郊外リュムラングの駅から2人のスーツケースをその日の宿泊地ルツエルンをすっ飛ばして、3日後に到着するグリュンデルワルドの駅に送る。スイスは観光大国である。前にも書いたか。駅で荷物を送れば目的地の駅で受け取れる。急いでいると料金を少し余分に払えば、その日のうちに受け取れる。電車の中やっと見つけた席に座ろうにも、大きな荷物を席の間に持ち込むのは迷惑で落ち着かない。そんな心配なくリュック1つで電車に乗れるのである。ウサギは旅行中このシステムをフル活用した。1個1,400円ぐらいのお金で精神的余裕が買えるのである。さて、荷物を送った後、山の服装と2日分の着替えとストックを入れたリュックを背負って、靴は登山靴でなくまだ運動靴で動くことにしてルチェルン行き電車に身軽に乗った。ルツエルンの駅で着替えと洗面道具をロッカーに入れ、そのまま、2分後発のローカル電車に飛び乗りピラタス登山口の駅に。ピラタス登山電車は急勾配を一気に登ることで有名な電車だ。体が斜めになるほどの急勾配をゆっくりゆっくり上っていく。2,118m、山頂近くの展望台にはたくさんの観光客。眼下に今登って来た登山電車の線路とのろのろと降りていく赤い電車、登山して来る豆粒のような人、遠くにルツエルン湖、そしてもっと遠くに雪を頂いた3,000m、4,000mという山々。絶景かなの風景。展望台の横をすり抜け、岩肌を回り込むようにして、トムリスホルン峰まで2時間の往復ハイキング&軽い登山。展望台から最初は平らな道なので軽装でそのまま歩いてきてしまった人は途中で後悔することになる。右手は岩の壁、左はどんと落ちるがけ、最後に50mほどのガレ場の急登になるから。われらも、登山靴を送ってしまって、運動靴で来たことを早くも後悔したのだった。高低差22mと書いてあったが、これは曲者。歩き始めと頂上の差が22mなだけで、一度下って登れば、登った分の高低差は下った分を足さなければならない。それを繰り返せば、早い話が高低差100mだってありうる。高所恐怖症気味の夫、できるだけ崖下を見ないようにして歩く。私がかがんで花の写真を撮るときは私のリュックをつかんでいてくれる。下を見ないようにして。そして出来るだけ壁際を歩く。ピラタス posted by (C)灰色ウサギ20人ほどしかいられないトムリスホルン頂上で、下から登山して来た若者たちがパンにチーズとハムを挟んで食べていた。スイスだ。アルゼンチンから来たという夫婦(なんでわかるか。当然聞いた。どこから来たのって。)ががけ下を指さして教えてくれた先には運が良ければ見られるとガイドブックに書いてあったアイベックス(カモシカみたいの)の親子が草を食んでいた。幸先いいじゃん。帰りは反対側の山肌をロープーウェイで一気に降りバスでルツエルンの街に帰った。ウサギが取った宿は旧市街のど真ん中。あまりにも有名な花の橋、カぺル橋のすぐそばの小さなプチホテル。何百室もある近代的なホテルより、ウサギはこういう小さいホテルが好きなのである。ブルージュのプチホテルオランジュ以来。ただし、こういう伝統を持ったホテルは絶対冷房なんていれないから暑い。暑いから窓を開ける。旧市街で路地が細いから、外の話し声が聞こえる。ヨーロッパの人は路上にテーブルを出して遅くまで日が暮れない明るい夜を飲み明かす。よって、うるさくて疲れていても眠れない。私のガイドブック読み違えと、(頂上までの片道分しか計算しなかった)心もとない運動靴で思いのほかたくさん歩いて疲れた夫はそれでも外の明るいうちから寝てしまったが・・。ルチェルン posted by (C)灰色ウサギカペル橋