遭難
無事帰って来ました。
日記続けます。19日間の旅行記長いですが忘れない為に綴ります。適当にお付き合いください。
4日目
今日の日記は長い。何しろ1日の歩行距離35km
好きだとは思っていたが、まさかこんなに長女がアイガー狂だとは思わなかった。
グリンデルワルドから登山電車で一駅、5分歩いてゴンドラで30分、1296m標高差を登るとメインリッヘンヘ。標高2,239m。
本来ならスイスでも有数の絶景が見られるはずが・・
眼下に遠くグリンデルワルドの村も、白い雪を頂くヴェッターホルンや4,000m越えのシュレックホルンも、そしてアイガー北壁も、反対側の谷底にヴェンゲン村、遠くベルンの方向も、雪山のユングフラウ、メンヒなども、霧で何も見えない。それでも、昨年来た比較的歩きやすい標高差があまり無い横移動の道をクライネシャイデックに向かって1時間半歩く。
メインリッヒェン posted by (C)灰色ウサギ
歩きながら、「アイガー見えないかな。」長女が呟く。
どの位置にアイガーが見えるのか知っている私はその雲の中にあるべき方向を指差す。
あ、霧が少しずつ晴れて来た。
アイガー posted by (C)灰色ウサギ
クライネシャイデックが見えるレストランで食事。皆まだまだ余裕があるようなのでもう1コース、電車でアイガーグレシャー駅まで行ってクライネシャイデックまで下るコースに挑戦。ところが電車で氷河脇のがれ場コースを見てしまった皆、誘惑に負けそのコースを取ってしまった。尾根道は片方は10m程の草原に落ち、もう片方の崖は200もあろうかという退行して行くアイガー氷河に落ちている。
怖い。滑る。200mほど降ったところで歩行を続ける勇気がなく草原側にリタイヤ。アップダウンのあるコースを取った。1時間半ちょっとでクライネシャイディック。
アイガーが徐々に雲から姿を見せる。ユングフラウも誘惑するように雲に隠れたり姿を見せたり。
「さっきのメインリッヘンからだとアイガー北壁綺麗に見えるんだけどね。」
うっかり呟いてしまった。!
「でもまた1時間半歩いて戻るのもね」とみんな。
「クライネシャイデックから登山電車を反対の谷に下り、途中のベンゲンからケーブルカーでメインリッヒェンへ登るというコースもあるけどね。」
言ってしまってから「しまった」と思ったが遅かった。長女が飛びついて来た。
「行こう」
大体4時半ごろだったかと思う。
朝いたメインリッヒェンに再び登った時刻は5時頃だったか。
朝と違ってかなりはっきり麓の村やアイガー北壁が見えた。しかし、この時我らは知らなかったのだ、夕方になると雲が谷から湧いて来てまた再び曇り始めることを。
ロープウェイ乗り場から50mほどの急坂を見晴し台までヒイコラ言って登る。
80パーセントの絶景。
IMG_3487 posted by (C)灰色ウサギ
アイガー北壁に雲が湧き出ていた。
長女はじっとその方向を眺めて雲が飛んで行くの待っている。まだ明るい。
IMG_3489 posted by (C)灰色ウサギ
反対側の谷からは霧が湧き上って来ている。
ふと気がつくと周りが潮が引くように観光客がいなくなっていた。時計を見ると5時40分ぐらい。
なーんかやな予感。
しまった、明るさに油断した。ヨーロッパの日暮れは遅いのだった。
慌ててゴンドラ駅に向かう私の目にストップしたままのゴンドラが見えた。
振り返る反対に降りるケーブルカーも終点時刻が終わっていると時刻表を見た娘が言う。
「え、え!」我ら2,239mの地点で1,034mのアパートが有るグリンデルワルドへ帰るすべを失ったの?
顔から血の気が引き。頭がフル回転。
策1、クライネシャイデックまで朝のコースを1時間半歩いても多分登山電車の終電に間に合わない。疲れた足で高地を走れるか。
策2、アパートに帰るのを諦めてクライネシャイデックまでゆっくり歩いて、そこのホテルに一夜の宿を乞うか。
策3、グリンデルワルドに直登ならず直下山するか?
策4、グリンデルワルド方向に斜めに500mぐらい下山し、登山電車の途中駅アルピグレンで終電に乗るか?
さて我らが取った策はどれでしょう。
クライネシャイデックから posted by (C)灰色ウサギ
眼下の村がグリンデルワルド