決断
前回の記事で、鹿の糞について書いた。そうしたら7パパさんや 英坊3さんが「吉永小百合さんの歌をお聞きなさい」とコメントくださった。確かに!「鹿の糞は黒豆」と歌っている。納得。若い頃毎月のように奈良に行っていたのに、春日野に座って柿の葉寿司食べた時コロコロ落ちていたのに、すっかり忘れていた。これでもう、山小屋のもみじの葉は無くなることが決定。残念。今回の山小屋行き、いつもと違って1つ目的が有った。子供のPTAをやっていた頃以来の友人がご主人の定年を機に標高550m位の安曇野に移り住んだので、そこを訪問するという目的。彼らの話を聞けば、何年も前から構想していたことだそうだけど、突然「明日、安曇野に移住します」と聞いたときはびっくりした。長年住み慣れた土地、友達もいっぱいいるだろう、もろもろの柵も有っただろう。インターネットの有る現代、簡単に移動もできる現代。でもすぐに何かしようとするにはここと安曇野では遠すぎる。そういったものはもういらない、と新しい希望と新しい生活を楽しむ決定を下したことにびっくりしたものだ。しかし、今回、洋風建築の高い天井と中2階と北アルプスを望む大きな窓が有るすてきな家にお邪魔して、すごく羨ましくなった。私たちも信州の標高1,450mに家を持っている。でもそれはあくまでも仮の生活の場所。あくまで避暑地なので年間通しては過酷だ。こちらの家の庭の水やり、防犯などを気にかけながらの二重生活だ。そこから帰らなければならない場所だ。帰らなくてもいい場所、生活のすべてが有る場所、新しい友人と新しい趣味が有る場所。いいなあ。われらにそんな決断が出来る日は来ないだろうな。建て替えて5年のこの家を捨てられないだろうし、私たちはもうこれから計画建て、こちらの家を売って、あちらで新しい家を買って生活を構築するには遅いんだろうな。あ、こちらに自分流の庭も作っちゃったし。これからも、時々の鹿との戦いを楽しみに、山の家に行こう。この頃、2,800m級の山に登るという友人夫婦。安曇野を訪問した翌日、八ヶ岳を間にして反対側に位置する我が家に招いて、1日過ごした。その時、我らが登りたいと長年思い続けて、今では我らには無理だなと断念した瑞牆山の山容がはっきり見える麓まで連れて行った。「代わりに登ってよ」その100名山の登山を唆したのである。友人が、私が山の家の壁にべたべた貼っておいた家族の写真を見て、「ここにはあなたたち家族の思い出がいっぱい詰まっているのね」と言ってくれた言葉にきゅんとなってしまった。30年前、山の家の土地を買った時の大きな決断も正解だったのかもしれない。