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みんな泣いていた。もうすぐ41歳のベテランははなをすすり、いつも笑顔のエースは真っ赤な目で声を詰まらせた。マウンドでほえる20歳の若者も、敗北が決まる直前に、ベンチの奥で目を潤ませていた。第2ステージ敗退から、もう5日。それでもテレビでは野村監督のラストゲームになった試合を、繰り返し放送し続けている。それだけあの試合は監督、コーチ、選手の思いが凝縮されていた。
さまざまな思いが入り交じっていた。「てっぺん」を勝ち取りたい気持ち、野村監督と長く野球をしたい気持ち。それが同時に断たれた瞬間、感情が一気に噴き出した。全体がそろって涙するチームなど、極めて珍しい。1人1人思いは違えど、目標は日本一あるのみ。月並みだがまさにチームは一丸となって戦い、敗れた時もまた1つだった。 今日29日、ドラフト会議が行われた。楽天にも続々と新たな戦力がやってくる。そのうち2人に楽天のイメージを聞くと「CSでは特にチームが一丸になって戦っていた気がします」と、同じ言葉を口にした。楽天というチームの一体感は、まだユニホームにも袖を通していない、来年のルーキーたちにも届いていた。 野村監督が去り、1軍コーチ陣も大多数が退団した。「野村楽天」は、強烈なインパクトと球団史上最高の成績を残して終了した。あと3カ月も経てば、新監督のもと、新たな楽天が久米島でスタートを切る。次なる目標はリーグ制覇と日本一。もちろん技術の向上も必要だ。それでも「野村楽天」最終戦で見せた一体感なくしては、目標達成はありえない。より強い集団となるために、10月24日を忘れてはならない。 【小松正明】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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