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June 26, 2009
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カテゴリ:♪本の覚え書き♪


東京・谷中でアンティークきもの店を営む栞。ある日、店に父親とそっくりの声をした男性客が訪れ…。人を大切に思う気持ち、日々の細やかな暮らしが、東京・下町の季節の移ろいとともに描き出される、きらめくような物語。


言葉を大切にし、きれいな日本語で毎日の暮らしを丁寧に生きている感じが語られる小説です。

払い下げられた着物をきれいに仕立て直したり、求める人に着物などを合わせたりするアンティーク着物屋さん。そんな仕事をしながらその季節の旬なものを作ったり、谷中で有名なお店とその食べものを紹介しつつ進む物語なのですが、実は家庭を持つ男性との恋物語なんです。

やはり家庭を持つ身として読んでしまうと奇麗事感があるのですが、日々の生活や季節感あふれる行事が一つ一つ丁寧に描かれているので、そんな生活の裏に隠された想いのようなものを濃密に感じてしまうのです。

何週間ぶりに会っていっしょにお惣菜の食事をつまむだけでも、わずかな時間会えてただ手をにぎっただけでも、さまざまな想いが押し寄せてきて心がいっぱいになってしまうのです。

未婚の女性の普通の生活が描かれているだけなのに、書かれていない想いをあふれるほどに感じてしまう小説。そう、ある意味官能小説です。



柚子と蜜柑の自然交配によってできたという黄金柑、焼いてあるかりんとう、甘味どころの豆かん、揚げおかきなどなど物語のなかで紹介されているお店や美味しそうな食べ物がとっても気になってノートに書き出していたら、軽く1ページ埋まってしまいました(笑)。
これも、ある意味官能小説?(笑)。




春一番が吹いたときに生まれたから「春一郎」この物語にでてくる人だからこそぴったりな名前だなぁと思うのでした。


ちなみに『喋々喃々』とは、男女がたのしげに小声で語り合うさまのことを言うのだそうです。
それはきっとその時の二人が幸せだからできることなのでしょうね。

いろいろな意味でごちそうさまでした♪






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Last updated  July 5, 2009 05:08:53 PM
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