カテゴリ:♪本の覚え書き♪
下級官吏アカーキエヴィチにある日、大きな生き甲斐がうまれた。外套を新調するという夢の実現である。生活を極度に切りつめ、ようやく念願かなった暁に……。ドストエフスキーに「われわれはみなゴーゴリの『外套』から出た」といわせたロシア文学の金字塔。 7月11日放送の週刊ブックレビューはとっても雰囲気のよい内容になっていました。 毎回三人の違う出演者が本の紹介をするのですが、この回の出演者の方がとてもマッチしていたからだと思います。 その三人とは 文芸評論家の高橋敏夫さん、劇作家・演出家の永井愛さん、そして俳優のイッセー尾形さん。 イッセー尾形さんは私にとってとても興味深い本をいつも紹介してくれます。 一押しの本は『最終目的地』ピーター・キャメロン著 岩本正恵訳だったのですが、その前にちょこっと紹介された本が『外套』でした。 短い絵本のようで読んでいるとO.ヘンリーが浮かぶような物語です。 主人公はロシアで安い賃金で働く下級官吏アカーキエヴィチ。毎日大好きな清書という仕事だけを一途に行い、自分の世界にひたって生きています。同僚も上司もそんな彼をさげすみますが大好きな清書をしてお気に入りの文章に出会ったときの喜びを求めて、粗食をするなどつつましい生活を送っていました。 そんな彼の上着がロシアの冷たい冬を過ごすうちに手直しもできないほど痛んでしまい、新しい外套を作ることになります。さらに粗食と節約に努め外套を新調したとき彼の世界は一変するのです。。。 昔に作られたお話とは思えません。 今でも充分通じる話だったからです。 主人公が「どうして私をそっとしておいてくれないんだ」と仲間に訴えるところでは、昔も今も人間はまったく変わらないんだと気づきます。 尾形さんは以前からこの物語を知っていて、新しく出たこの訳を紹介してくれました。 未完成の粗いデッサンが挿入されているおかげで、たくさんのことを想像し、ひそんでいることを見たいと、その絵を恐いもの見たさのようにのぞき込んでいました。 私はもちろん図書館で借りてきましたがさすが2625円もする本だけあります。 いい本ってこういうものをいうのでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 21, 2009 07:05:01 AM
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