テーマ:囲碁全般(743)
カテゴリ:囲碁
畑正憲氏と言えば、世間一般では動物と触れ合う時の笑顔がトレードマークと思うが、我々?には何といってもトップ雀士でもあり碁打ちでもある勝負師畑正憲になる。 いつでも動物と触れ合っている氏が、都会で勝負に明け暮れるイメージはあまりにかけ離れていて、実際どういう生活をしているのか不思議だった。そこの所は調べてもよく分からない。
畑氏の麻雀の技術書は、単なる技術指南でなく読み物として圧倒的に面白かった。対戦相手を観察する様子が生き生きと描かれて、エッセーのようだった。確率的研究が進んでいる中で、「畑正憲の精密麻雀」を超える名著はもう出ないかも知れない。 当時、日本棋院の雑誌棋道に掲載されていたエッセーは今でも強烈な印象が残っている。毎回、畑氏が出会った個性的な碁打ちが登場する。その多くは、頻繁に付き合った人ではないはずなのに、まるで親友かと思うほど、深く観察し考察している。特に思い出に残っているのは、碁会所では圧倒的に強いのに大会に出ると全く勝てなくなる碁打ちの話。普段4子置かせている相手に大会では必ず負けてしまう。そんな、碁打ちの悲哀を飲み屋で聞くのだが、その場に同席しているように迫ってきた。この登場人物と似たような人にはその後出会った。過去何度か登場したK先生だ。それほど悔しそうにしている様子には見えなかったが、年も離れている事もあり本心に触れることはなかった。 振り返ると、動物の気持ちが分かると言う畑氏にとって、人間の心を読むことも朝飯前のはずで、実は動物と勝負事は通じるものがあったのかも知れない。 青春時代の憧れの畑先生のご冥福をお祈りします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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