・西貝塚環境センターの入札に係る調査特別委員会報告書を掲載しました。
・5月7日(火曜日)午後1時30分から、第2委員会室で議会改革特別委員会を開催します(政治倫理規程について、予算・決算特別委員会について、委員会の動画配信について 他)。・平成31年6月定例会は6月7日開会予定です。なお、6月定例会で審議する請願の締め切りは6月3日(月曜日)です。・西貝塚環境センターの入札に係る調査特別委員会報告書を掲載しました。※ 市議会のHPに、「調査特別委員会」の「調査報告書」が掲載されました。※ HP記事に、記載日、更新日が明記されていませんので、 議会事務局に、改善を、お願いします。西貝塚環境センターの入札に係る 調査特別委員会報告書平成30年12月21日 上尾市議会目次 1 調査の趣旨 ............................................................................1 2 事件の概要 ........................................................................... 1 3 特別委員会の設置 .................................................................. 3 (1) 設置に至る経過 .................................................................... 3 (2) 調査事項 ............................................................................. 3 (3) 調査方法 ............................................................................. 3 (4) 調査権限 ............................................................................. 4 (5) 調査期間 ............................................................................. 4 4 調査の結果 ............................................................................ 4 (1) 調査対象とした業務概要 ......................................................... 5 (2) 入札の経過について ............................................................... 6 (3) 平成24年センター本体管理業務に係る事務について..................... 7 (4) 平成26年ペットボトル結束業務に係る事務について..................... 8 (5) 平成27年センター本体管理業務に係る事務について..................... 9 (6) 市が行った再発防止策について ................................................ 11 5 調査により明らかになった問題点 ............................................... 12 6 調査事項に対する指摘・改善意見 ............................................... 13 7 まとめ .................................................................................. 14 資料編 資料1 上尾市議会の信頼回復と再発防止に努めることを誓う決議............ 18 資料2 委員長、副委員長、委員の氏名............................................... 19 資料3 委員会の開催状況 ............................................................... 20 資料4 提出を求めた書類 ............................................................... 22 資料5 入札制度について ............................................................... 25 資料6 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律 ... 32 資料7 参照条文............................................................................ 341 調査の趣旨 平成29年10月30日、当時の島村穰市長と田中守議長が西貝塚環境セ ンターの業務に関する入札情報をめぐり、予定価格等を事前に業者に漏らし たとして、官製談合防止法違反や公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕され た。田中議長はあっせん収賄の疑いでも逮捕された。また、島村市長は同年 11月20日、受託収賄の罪でも再逮捕された。 二元代表制の各代表である市長と議長が同時に逮捕されるという極めて異例な事態であり、市民の信頼は大きく損なわれ不信が広がっている。 本委員会では、行政の活動を監視する議会の立場から問題点を明らかにし、 原因究明と再発防止を目的として調査を行うものである。 また、「上尾市議会の信頼回復と再発防止に努めることを誓う決議」1に基 づき、議員は市民の負託を受けた全体の奉仕者として、自らの行動を厳しく 律し、市民に信用・信頼される議会改革を進め、再発防止に向けて取り組ん でいくことを確認した。 2 事件の概要 今回の事件は、田中前議長、島村前市長及び明石産業(株)の代表者である 山田社長が共謀の上、上尾市が発注する「ペットボトル結束機運転管理業務 (長期継続契約)」(以下、「ペットボトル結束業務」という。)の入札に関する秘密事項を明石産業(株)側に教示するとともに(官製談合防止法違反、公 契約関係競売入札妨害の罪)、田中前議長が山田社長からの請託を受けて、島村前市長に対し、上記のような職務上不正な行為をさせるようあっせんしたことに関して現金の供与を受けたこと(あっせん収賄の罪)、その後、島村前市長が「西貝塚環境センター運転管理業務(長期継続契約)」(以下、「センタ ー本体管理業務」という。)の入札に関し、山田社長から明石産業(株)に有利 かつ便宜な取り計らいをしてもらいたい旨の請託を受け、その謝礼として現 金を収受したこと(受託収賄の罪)により、それぞれ起訴され、有罪となったものである。 田中前議長は、平成23年頃に山田社長と知り合って以降、上尾市が発注 するセンター本体管理業務を受注したいと考えていた同人から、現金の授受を伴うこともある接待を繰り返し受けるようになり、島村前市長とともに、 明石産業(株)の受注に向けてさまざまな取り計らいを行ってきた。センター本体管理業務のいわば派生業務であるペットボトル結束業務の入札に関する 犯行も、三名が上記のような継続的な癒着関係を結ぶ中で敢行されたことが 明らかとなった。 また、田中前議長は、島村前市長を上尾市長に擁立した同市議会最大会派の重鎮としての島村前市長に対する影響力を行使しつつ、上記癒着関係の要となっており、島村前市長に対して秘密事項の教示を積極的に働きかけてい た。 (罪となるべき事実) 第1 上尾市が平成29年1月31日に入札を執行した「ペットボトル結 束業務」の条件付一般競争入札に関し、山田社長が、同入札の秘密事項 を教示するよう島村前市長に働きかけることを田中前議長に依頼し、こ れを受けた田中前議長が島村前市長にその旨の働きかけを行うなどし、 これに応じた島村前市長が、適正に入札等に関する職務を行う義務があ るのに、その職務に反し、同月27日頃、田中前議長をして、前記入札 の入札参加業者名を記載した書面をさいたま市所在の明石産業(株)事務 所にファックス送信させ、同所において、山田社長に対し、前記入札に おける秘密事項である入札参加業者名を教示し、さらに、同月30日、 埼玉県日高市所在の埼玉医科大学国際医療センターにおいて、同人に対 し、前記入札における秘密事項である同業務の予定価格(税抜き)が1 億1,346万円、最低制限価格(税抜き)が7,942万2,000 円である旨教示し、もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密を 教示して公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為を 行った。 第2 田中前議長は、平成28年12月25日頃から平成29年1月30 日頃までの間に、さいたま市浦和区所在の浦和ロイヤルパインズホテル内の日本料理店「四季彩」等において、山田社長から、前記入札に関し、 秘密事項である予定価格、最低制限価格及び入札参加業者名について、これらを知り得る上尾市長であった島村前市長に対し、その教示を働きかけてもらいたい旨の請託を受けてこれを承諾し、その頃、島村前市長に対し、前記埼玉医科大学国際医療センター等において、直接又は電話によりその旨申し入れて、同人に職務上不正な行為をさせるようあっせ んし、平成28年12月25日から平成29年1月30日までの間、5 回にわたり、山田社長から、前記あっせんをしたこと等に対する謝礼の 趣旨で供与されるものであることを知りながら、現金合計50万円の供 与を受け、もって賄賂を収受したものである。第3 島村前市長は、平成29年2月11日ごろから同年6月20日頃ま での間に、前記「四季彩」等において、山田社長から、上尾市が平成3 0年に発注予定の「センター本体管理業務」を明石産業(株)が受注でき るように、同業務の一般競争入札に関し同社が要望する入札参加資格を 設定するなどの有利かつ便宜な取り計らいをしてもらいたい旨の請託を 受けてこれを承諾し、その謝礼の趣旨で供与されるものであることを知 りながら、平成29年5月5日から同年6月20日までの間、3回にわ たり、同人から、現金合計60万円の供与を受け、請託を受けて賄賂を 収受したものである。3 特別委員会の設置 (1) 設置に至る経過 平成29年10月30日の市長、議長の逮捕を受け、事実確認のため1 1月2日に全員協議会を開催し、市当局から逮捕後の市の対応や西貝塚環 境センターの入札関連情報などの報告を受けた。 11月6日に市長から辞任届が提出され、11月7日に市長の退職の期 日に関する議会の同意を得るため、臨時会の招集が告示された。 11月8日開催の臨時会当日、議長から議員辞職願が提出されたため、 臨時会では市長の退職についての同意と、議長の議員辞職についても議題 とされ、それぞれ同意、可決された。 また、日をまたぎ11月9日の臨時会の中で、「上尾市議会の信頼回復と 再発防止に努めることを誓う決議」が議員から提出され可決した。この決 議では、市議会として、今回の事態の重大さを真摯に受け止め、真相解明 のために調査特別委員会を設置し、再発防止に取り組み、市民の信頼回復 に努めるとされた。 決議が可決された後に、議長から全議員を構成員とする「西貝塚環境セ ンターの入札に係る調査特別委員会」設置についての発議があり、特別委 員会が設置された。 4 調査の結果 本特別委員会は、地方自治法第98条に基づく事務の検査として、①西 貝塚環境センターペットボトル結束機運転管理業務入札に係る事項、②西 貝塚環境センター運転管理業務入札に係る事項の2点について、関係書類 を検閲するとともに、執行部に対し質疑を行った。 なお、訴訟記録については、刑事確定訴訟記録法第4条第2項5の規定に より、さいたま地方検察庁から「情報公開条例に基づき開示請求があった 場合、一切開示しない」「コピー機などを使用して再複写しない」などの条 件付きで市に対して開示されたものであったことから、本特別委員会での 閲覧についてもさまざまな制約が課された。具体的には、「コピー機等によ る複写及びスマートフォン等による撮影はしません」「本訴訟記録の写しの 閲覧により知り得た情報の公開はしません」「公開の調査特別委員会におい て、本訴訟記録の写しに記載された事項に関し詳細な発言はしません」等 の誓約書を提出した上での、少人数での閲覧であった。 よって、本報告書では、訴訟記録で判明した情報についての詳細な報告 は差し控えることとする。 以下、調査結果を報告する。5 調査により明らかになった問題点 (1) 島村前市長、田中前議長、山田社長の3名が継続的な癒着関係を結び、 明石産業(株)の受注に向けてさまざまな取り計らいを行ってきたことや、 田中前議長が山田社長の依頼を受けて職員の人事に介入したこと、山田 社長から島村前市長、田中前議長に対して現金の授受があったことなど、 これら一連の不正行為が行われたことは、法令遵守という意識や倫理感 の欠落によるものであり、市民の負託を受けた二元代表制の各々の長と して、資質が厳しく問われる。 (2) 田中前議長が、ペットボトル結束業務及びセンター本体管理業務を明 石産業(株)が受注できるよう、所管する担当部長に連絡を取り、山田社長との接待の場に引き合わせたり、必要以上に報告を求めたりするなど、度重なる強いあっせん行為があった。 (3) 上尾市には「上尾市職員等の内部通報に関する要綱」7が定められてい るが、今回の事件では、関係した職員等からの内部通報の制度が機能し なかった。 (4) 特定の業者が入札に参加できるよう、市長から指示を受けた副市長が、 西貝塚環境センターを所管する環境経済部と、契約事務を所管する総務部の職員に市長の指示を伝え、派遣契約の実績しかなかった明石産業 (株)が入札に参加できるように「下請契約等」という表現を用いて、入札参加資格を緩和した。 (5) 議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格1億5,000 万円以上の工事又は製造の請負とされており、今回のペットボトル結束業務及びセンター本体管理業務に関する契約は、議会の議決事項となる契約ではなかったため、議会によるチェック機能が十分に果たせなかっ た。 6 調査事項に対する指摘・改善意見 (1) 市が行うべきもの ア 対応の徹底を図る制度を創設すること。また、上司によるあっせん・指示・変更、部課内で行われる打ち合わせや協議などについても、記録を残す制度の創設を検討すべきである。 イ 内部通報制度については、制度の重要性について管理職を含む全職員に周知徹底し、通報による不利益を被らないことを保障すること。 また、今後不正を未然に防ぐためにも、弁護士などの第三者、あるいは外部への通報機能を検討すべきである。 ウ 職員の行動規範となる条例の策定を検討すべきである。また、意識改革に必要なコンプライアンス研修を定期的に実施すること。 エ 市長室で現金の受け渡しがあったことを受け、市長室、市長公室へ の入室・面会記録などの基準を設けること。また、公用車の利用についても、適正な使用に努めること。 オ 契約全般について適正であるかどうかを検証する機関や、入札監視委員会の設置、工事等における監査委員による工事監査の実施など、検査体制の充実を検討すべきである。カ 請負審査委員会は、行政だけでなく外部有識者を入れ、透明性を図ることを検討すべきである。また、市長からの指示・命令等があっ た場合の対策として、公平性・透明性・客観性が確保できるような仕組みを検討すべきである。 キ 市長が最低制限価格を決定するのではなく、「変動型最低制限価格式」を導入するなど、最低制限価格の設定のあり方について検討すべきである。 ク 予定価格の事前公表や、最低制限価格の固定は、積算能力のない業者でも受注できてしまうことや、談合が容易になるといった懸念も考えられることから、これらの在り方について早急に検証すべきで ある。 ケ 特殊性の高い案件については、価格以外の要素を含めた総合評価方式とするなど、落札方式のあり方について検討すべきである。 コ 競争入札参加資格審査申請について、市独自の審査基準を設けるなどの検討をすべきである。(2) 議会が行うべきもの ア 正副議長室、正副議長応接室への入室・面会記録などの基準を設けること。また、公用車の利用についても、適正な使用に努めること。 イ 今回の事件を受け、あっせん利得処罰法8を議員が十分理解し、議員の行動規範を定めることを引き続き議会改革特別委員会で推し進めること。また、コンプライアンス研修を定期的に実施すること。 ウ 議決事件に該当しない契約を条例で議決事項とすることは法的にできないが、議決事件に該当しない契約について、何らかの関与が議会としてできないか検討すること。 7 まとめ 今回の調査活動では、市当局に対して提出要求をした書類や資料の多くが、 長い間捜査機関に押収されていたことや、訴訟記録の閲覧に際し、さいたま 地方検察庁から多くの制約があったなど、限られた条件の中で調査を進めざ るを得なかったが、可能な限り調査を行ってきた。 そして、それぞれの問題点を指摘するとともに、改善意見を提言したが、 議長や市長の倫理意識の希薄さ、内部通報制度が全く機能しなかったこと、 脆弱な危機管理体制が招いたことが明白となり、市民の信頼を大きく損ねる結果になったことは、誠に遺憾である。 この報告をもって、本委員会に付託された調査は終結するが、本件に対し て、上尾市議会は、今回の事案が発生したことを教訓に、今後二度とこのよ うなことが起こらないように猛省し、議員の資質向上に努め、議会及び議員 自らが襟を正して職務に専念するとともに、市政の監視機能を一層強化させ、 その責務を果たしていく所存である。 また、市当局においても、それぞれの問題点や指摘・改善意見を真摯に受け止め、問題解決に当たるとともに、再発防止と市政の信頼回復に向けて、 職員一丸となり万全を期すことを強く求めるものである。 なお、本特別委員会での指摘・改善意見については、後日検討結果を議会に報告すること。 以上で、西貝塚環境センターの入札に係る調査特別委員会の最終報告とす る。 ※今後の改善の進捗の推進は、だれがするのか? 議会のトップ、議長が、市長と確執があるようですが、進捗しますか?市民は、「監視」を継続しなければならない。しかし、上尾市当局の「対応」に改善は見られない。非常に、残念なことである。市民、市議、職員が本気で、改善する「風」を、おこす必要がある。※第三者調査委員会の「調査報告書」の表記を、 再掲載します。3 事件(犯行)に至る経緯乃至背景事情 訴訟記録によれば、事件に至る経緯乃至背景事情について、以下のことが 推認される。 (1) 元議長は、平成12年1月から平成29年11月まで上尾市議会議員を務めていた。事件当時は、前市長を擁立した市議会最大会派である新政クラブの重鎮(議会のドン)と言われており、職員の人事にも介入す る等市政に大きな影響力を持っていた。 (2) 前市長は、平成16年1月から平成19年12月まで上尾市議会議員 として元議長と同じ会派の1期後輩であり、元議長が市長選挙時の選挙対策本部長を務めていたことも重なり、前市長は元議長の依頼を断れない関係にあった。 (3) 明石産業(株)社長は、自己の経営する会社が上尾市の発注する上尾市西貝塚環境センターの業務を受注できるよう、平成23年頃から元議長に現金の授受をともなうこともある接待を繰り返し行うとともに、元議長を介して、前市長にも現金を授受するなどして、同人との癒着関係も 深まっていった。 (4) すなわち、明石産業(株)社長は、知り合って間もなく元議長が経営する料理屋で同社社員の懇親会を開催するようになり、その席で元議長に 100万円か200万円の現金を渡した。 (5) また、明石産業(株)社長は、ひいきにしているさいたま市浦和区にある浦和ロイヤルパインズホテル内にある日本料理店「四季彩」で元議長 に1,500万円くらいを一度に渡し、うち500万円は元議長から前市長に渡された。 (6) さらに、明石産業(株)社長は、元議長がひいきにしているさいたま市大宮区にある「一の家」で、元議長と前市長にそれぞれ100万円を渡 した。その後も元議長、前市長に対し現金の授受をともなう接待を繰り 返し、元議長に対しおおよそ 7,000 万円を渡していた。 (7) このような、明石産業(株)社長、元議長、前市長の三者の癒着関係を 背景に、下記のとおり職員を巻き込みながら、明石産業(株)のセンター 本体管理業務及びペットボトル結束業務の受注に向けた様々な取り計らいが行われた。 (8) すなわち、元議長は平成23年8月頃、明石産業(株)社長と担当職員 を引き合わせて、明石産業(株)に便宜を図るよう直接職員に依頼した。 接待の場に黙って連れてこられた職員は焦り、嫌な気持になったが、相手が元議長であったため、席を立つようなことはできなかった。うかつな返事はできないと考えた職員は、お茶を濁そうとしたが、元議長に恫喝された。その後、元議長は当該職員に対し、電話で明石産業(株)が入札できるように参加資格を緩和するよう要求した。 (9) 前市長は、元議長の要請に従い明石産業(株)が入札に参加できるよう、 入札参加資格の見直しを担当職員に命じた。センターの職員は、入札参加資格を「過去に同等の施設の運転管理業務を直接受注した実績のある業者に限定する」と主張した。しかし、前副市長、環境経済部、総務部 で協議した結果、最終的には元議長及び前市長の意向に従い、入札の参加資格を「ごみ処理施設の運転管理業務を直接又は下請契約等で請負った実績を有すること」と緩和した。 (10) 入札参加資格に、「下請契約等」の「等」という表現を加えた結果、ごみ処理施設の運転管理業務を下請契約で請負った実績もない明石産業 (株)が入札に参加できることとなった。 (11) 職員は、平成24年2月に予定されていたセンター本体管理業務の入札の数日前になって、前市長が最低制限価格をすでに決定していたと思われるにもかかわらず、再度、その入札に関する最低制限価格等を伝えるように前市長が指示したことに不自然さを覚え、前市長を通じて外部へ情報が漏洩する恐れを感じた。そのため、最低制限価格等そのものを教えることはしなかった。結果、この時の入札では、明石産業(株)は落札に失敗した。 (12) 平成24年の入札に失敗した明石産業(株)社長から、平成27年の入札にあたっては確実に落札できるように最低制限価格そのものを教えてほしいという要望を受けた元議長は、その要望に応えられるように誓った約定書を作成し、平成26年1月、前市長との連名で明石産業(株) 社長に渡した。 (13) 職員は、施設の重要性や安全性を考え、前副市長を通じて、次の入札では参加資格から「下請契約等」を外すことを前市長に申し出たが、元議長の圧力もあり変更できなかった。そこで職員は、センター本体管理業務の安全かつ継続的な運転を確保するため、技術者配置基準等を新たに定め入札に参加する者に必要な資格を厳格化した。 (14) センター本体管理業務の入札直前である平成27年1月下旬、明石産業(株)社長から最低制限価格等を知らせるよう圧力をかけられた前市長は、職員に最低制限価格等を直接尋ねた。その職員は、最低制限価格を決めたのは前市長であり、それを教えること自体に問題はないが、前市長を通じて外部へ情報が漏洩する恐れを感じた。そのため、最低制限価格等そのものを直接教えることはしなかった。 (15) 平成27年2月、センター本体管理業務の入札が執行され、明石産業 (株)が他の業者よりも著しく低く、最低制限価格に近い額で落札した。 (16) 落札後、明石産業(株)社長は、市が入札参加資格として示した技術者配置基準等が不当であると前市長に主張した。これを受けた前市長は、 技術者配置基準等を証明する書類の提出期限を延ばして書類の提出を手伝うこと等明石産業(株)に配慮するように職員に指示した。その後、 センターの職員が、明石産業(株)から市に提出された書類の確認作業を行った結果、技術者の経歴のほとんどが事実と異なっていることが判明した。このため市は、入札参加資格を満たしていなかった明石産業(株) との契約を解除した。(17) 平成28年4月の人事異動で、元議長の要求を受けて、当時のセンター所長が異動となった。 (18) 明石産業(株)社長は、次こそは落札するため、平成28年9月以降も 月1回から2回のペースで元議長と前市長に接待を行うとともに、今後は期待に応える旨の誓約書に署名させた。 (19) 平成29年1月、ペットボトル結束業務に関する予定価格等を前市長から問われ報告していた職員は、その後の前市長の話から元議長を通じて予定価格等が明石産業(株)社長に漏れることに危惧の念を抱いた。職員は、前市長に予定価格等を報告していた自らも同様に、明石産業(株) 社長に予定価格等を漏らしたことになり懲戒免職となる恐れがあると考え、前市長に対し政治生命を失う可能性があるため漏洩しないよう進言した。しかし、その後も市長から問い合わせが継続したことから、進言が受け入れられなかったことが分かった。 (20) この時の入札では、明石産業(株)は落札に失敗した。 (21) 明石産業(株)社長は、平成30年のセンター本体管理業務の入札に向けて、平成29年2月以降も元議長と前市長を繰り返し接待した。その接待の場で、具体的な名前を示した人事異動、自社の要望を反映した仕様書への変更、より高額な最低制限価格の設定等要求した。 (22) 平成29年6月上旬の日曜日、前市長と市長室で面会した明石産業 (株)社長は、次回の入札に向けて、技術者配置基準の見直し等の自社に有利になる要求を行うとともに、現金を渡し本件贈収賄事件に至った。