不思議なことに「自然エネルギー」というとなにか言葉の響きが良いのではないかと思いますが、女性の方の指導者が多いのに驚きます。「自然エネルギー***協議会」というような団体で活動している女性と時々、会うことがあります。
その女性の活動家は二つにわかれるようです。一つが純情でまじめなので新聞などでダマされている場合、もう一つはいわゆる確信犯で自然エネルギーが「日本の自然を破壊し、日本の産業をダメにする」ことを知っているのですが、そんなことには関心が無く、女性という立場を活かして、なんとなく環境を大切にするというスタンスで有名になったり一儲けする事を願っている人たちです。
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【第一】自然エネルギー自体の問題点
エネルギーにはエネルギー保存則というのがあり、日本の自然からエネルギー(太陽光、水力、風力、地熱、バイオ資源)などを採ると、日本の自然が痛むのは当然です.
歴史的に見ると現在の日本人が消費しているエネルギーは、日本の自然が痛む限度の30倍から500倍と計算されます.人間はもともと200年前まで自然エネルギーだけを使っていたのですが、産業革命以後、自然エネルギーを使うと自然を破壊するので石油・石炭を使うようになったという歴史があります。「自然エネルギーは日本のためになる」と社会に対して言う人は歴史的な経過、自然エネルギーと人口密度、日本のGDPと電力生産などについてシッカリした論拠を示す必要があります。
【第二】世界で日本だけ
日本では「化石資源(石炭、石油、天然ガス)は枯渇する」とされていますが、少なくとも世界でそのような前提で政策を切っている国はありません.アメリカは原子力が8%で、自然エネルギーは100年後まで5%を超えないレベルです.
また電源用のエネルギーのほとんどが化石資源を使いますし、燃焼によって生じるCO2(二酸化炭素)を減らそうとしているのも世界で日本だけです.
ここで重要なのは、エネルギーの選択は私たちの子供の生活、子供の時代の日本の発展に大きな影響を与えると言うことです。だから、「なんとなく格好いい」ではすまない問題だからです.
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日本の特殊な利権体質で、科学的に間違ったことを子供にも教えているということに日本の親も責任を感じる時期でしょう.タイトルなどに「乙女」とか「女性」などという言葉を使うのに若干、ためらいがありましたが、女性が社会で堂々と自らの意見を言う時代ですから、「女性だから世界の情勢を知らなくても良い.女性だから科学は無視しても良い」という事ではないと思います.
女性の活動を応援する一人として、社会に呼び掛けるときにはそれなりの責任を持つ必要があるでしょう。
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(平成24年6月21日)
武田邦彦