認定投票
認定投票
あるいは
二分型投票、承認投票、是認投票(
approval voting)は、
多数決の手続きの一種である。
投票者は各選択肢について
是認するか否認するかの判断を
別々に行う。
一般的に、
小選挙区制選挙で用いられるが、
大選挙区制に適用することもできる。
手順
各々の
投票者は、
好きな人数の候補者に投票できるが、
候補者1人当り最大1票しか投票できない。
これは、
候補者毎に1票入れるか否かによって
「是認」か「否認」かを表明するのと同等であり、
審査員が各々の候補者に与えることの出来る点数が0か1かのどちらかしかない range voting と同等である。
各候補者に投ぜられた票は
候補者毎に加算され、
最も多く票を得た候補が当選する。
性質
クローン独立性
単記非移譲式投票では似通った候補(クローン候補)
が複数いると票が分散し不利になったり、
ボルタ式では逆に有利に働く場合がある等、
一般には各候補者の得票は他の候補者に影響を受ける。
一方、approval voting では
投票者は各々の候補者毎に独立に投票投票を行うので、
余計な候補者が立候補しても他の候補者の得票数に影響が出ない。
戦略投票との関連
ギバード・サタースウェイトの定理によると、
投票者の選好(候補者に関する好みの順序)
を集計して1名の当選者を決めるルールは、
全候補者に当選の可能性があり
かつ特定の1名の投票者の選好のみによって
結果が来まるようなものでない限り、
戦略投票が有効になる可能性を排除できない。
一方、approval voting においては、
承認できる候補をあえて承認しなかったり、
承認できない候補をあえて承認することによって
投票者にとってより望ましい結果が生まれることはない。
すなわち、
正直に投票することが各投票者とって常に最善の戦略となる。
投票者にかかる負担を最小限に抑える
approval voting では、
1人の投票者が各候補者に行う投票(是認か否認か)の選択は、
候補者毎に独立している。
つまり、
別の候補者で自分が投票した内容を考慮せずに行うことが出来る。よって、投票者にかかる負担は候補者数に比例する。
各候補者を一覧するだけでも
候補者数に比例する手間はかかるため、
approval voting は、
投票者への負担が最も少ない選挙制度の1つであるといえる。
使用
実際に、approval votingを取り入れた投票方式は
歴史上利用され、また現在も使用されている。
投票用紙の種類
approval voting に用いる投票用紙の形式は
いくつかのバリエーションがある。
もっとも単純な形式は白紙の投票用紙で、
支持する候補者の氏名をすべて自書する。
また、あらかじめ候補者の氏名が記載されており、
氏名に隣接する空欄にYes/Noのような単語を書き込む形式や、
マークシート形式の投票用紙とすることも考えられる。