「国会会期延長なし」は正しい選択なのか?
社会保険庁でまた不祥事が発覚したのは周知の通りだ。事務局のスタッフが本人の同意を得ないまま、勝手に年金納付の免除申請をしていたというものだ。 社会保険庁は約3年前にも、いろいろと不適切な行動を取っている。国民から集めた年金で高価なマッサージチェアを購入したり、グリーンピアを作ったり(しかも安く売却される)と、もう年金の食い潰しとしか言いようがなかった。みのもんたさんからも「社会保険庁は解体した方がいい」と言われる始末だった。 前置きはこのくらいにしておいて、本題に入ろう。先日、小泉さんが「国会の会期延長はしない」と断言した。私は50%の確率で「ほんとにいいの?」と思ってしまった。なぜなら社会保険庁の改革法案が廃案になってしまうからだ。さすがに「自民党はおいしいところだけをやってる!」と感じてしまった。悪い言葉を使って言えば「自分たちにとって都合の悪いテーマになると、逃げ腰になる」ということだろうか。 しかしこの会期延長なし、という決定は半分歓迎できる。なぜなら組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪)や教育基本法改正案が廃案になるからだ。 共謀罪はマスコミで取り上げられているように、実際に犯罪行為をしなくても、犯罪について話し合っただけで捕まってしまう。刑法では大原則として「犯罪を犯した時点で罰する」としている。 しかし「あいつ殺してやる」とか「CDを不法コピーしよう」と思い、その後に「やっぱりやめた。犯罪だから」といっても共謀罪で捕まってしまうから、ある意味恐ろしいことだ。 民主党の修正案では対象を「テロ集団やマフィアといった、組織的犯罪集団に限定する」としている。私も民主党の見解を支持したい(この民主党の修正案には朝日新聞も同調している)。 次に教育基本法改正案について。「愛国心」とかでいろいろと騒がれたが、私ははっきり言って愛国心など必要ないと思う。戦後日本の教育界は「第2次大戦中の愛国心の強調(例えば教育勅語など)は、日本を戦争に導いた」という反省の下、愛国心は特に重要視されなかったのではないか。愛国心は最悪の場合、「政府に逆らえない国民」を作ってしまうのではないか。 以上のことで、今回の小泉さんの「会期延長はない」というコメントには、半分憤ったし、半分安心した。ある意味複雑なものだ。