ゆとり教育見直しへ これでいいのか、中教審
中央教育審議会は30日、次期学習指導要領の大枠を決めた。 それによると、国語や理科など主要科目の授業時間数を小中学校ともに約1割増やす。また、小学5年生から英語の授業が正式に始まる。それに引き換え、「総合的な学習の時間」が小中ともに週1時間減らされるという。 また、道徳を「徳育」として正式科目に昇格されることも議論されたが、見送られることとなった。 事実上、ゆとり教育の失敗を認めた中教審。ゆとり教育で消えた、小学校・算数の台形の面積計算や、中学校・数学の二次方程式の解の公式などが復活することになる。 しかし私として大いに疑問が残ることがある。それは・・・小学校からの英語教育である。なぜ公立校までもがそれに追随するのだろうか。小学生に英会話を教えるのは、町の英会話教室や私立小学校だったら分かるが・・・。 言語はコミュニケーションを交わすためにあるものだ。そのためには内容の充実が不可欠。母国語の内容を充実させずに外国語の勉強とは、順序が逆としか言いようがない。藤原正彦さんは『国家の品格』において、「小学校からの英語教育は日本を滅ぼす!」と記している。それが現実のものになってしまうのか、心配でたまらない。 子どもたちの言語力やコミュニケーション能力を鍛えるには、まず国語に時間をかけるべきだ。小学校から漢字やことわざ、表現方法などをみっちりと教える。さらには本も読ませて考える力、集中力も養う。英語教育は中学校からでいい! また、算数・数学にも時間をかけるべきだ。藤原さんが言うに、インドで若いエンジニアが台頭している理由は、子どもの頃から計算(20×20とか)をいっぱい勉強しているからだという。 私の試案としては、小学校3・4年生の「総合的な学習の時間」を全廃し、それで余った時間を、国語と算数に振り分ける。また、5年生から「総合学習の時間」が一部削減されるなら、英語ではなく本来ならば国語と算数に振り分けるべきだったと思う。 2002年に施行された、ゆとり教育体制。上記の次期学習指導要領が実施されるのは、2011年になってから。文部科学省が音頭を取り、朝令暮改の繰り返しでたどり着いた結果は、原点回帰だった。子どもや現場の教師たちが振り回されていることを、全く考えていないと思う。 今度の次期学習指導要領がまとまったら、早急な見直しはせず、じっくりやってみてはどうか。