羽田~成田間の空港直結鉄道計画!
10年ほど前から噂になっていた、羽田空港と成田空港を直結させる鉄道路線の建設。リニアモーターカーだったり、あるいは京成スカイライナーの都営浅草線乗り入れだったりと、様々な計画が練られてきたが、いずれも具体性に乏しく現実味のない計画に見えた。先代のスカイライナー・京成AE100形では地下鉄直通になれるよう正面に貫通扉が設置されたが結局有効活用されなかった。 ところが、第2次安倍内閣が6月に発表予定の「成長戦略」に、羽田~成田間を直結させる鉄道計画を盛り込む方針であることを今朝の産経新聞が報じた。 成田-羽田間、1時間で直結 成長戦略、官民で新鉄道 (平成)30年代半ば開業目指す(31日、産経新聞) 政府は30日、成田空港(千葉県)と羽田空港(東京都)を結ぶ新鉄道「都心直結線」構想の推進を6月にまとめる成長戦略に盛り込む方針を固めた。今秋にも地質調査を始め、早ければ平成30年代半ばの開業を目指す。これまで1時間半以上かかった両空港間を直通で1時間以内で結ぶ。JR東京駅近くに新東京駅を建設し、両空港からのアクセスを良くして観光客やビジネス客の利便性を高め、東海道や東北など新幹線を利用した全国への移動もスムーズにする。 都心直結線は地下鉄・都営浅草線の押上(東京都墨田区)-泉岳寺駅(同港区)間の約11キロに新線を通す。地下40メートルより深い部分にトンネルを掘り、土地の買収がいらない大深度地下方式を地下鉄で初めて採用し、事業費を圧縮する。1日当たりの利用者は延べ約22万人と試算し、既存線の混雑緩和も見込む。 構想は、国土交通省中心に検討されてきたが、事業費は新駅建設やトンネル掘削費などで約4千億円に上ると見込まれ、費用捻出が大きな課題となっていた。これに対して安倍晋三政権は、インフラ投資で企業から集めたお金を使う「PFI(民間資金活用による社会資本整備)」の活用を検討。民間投資を呼び込んで官民で実現させる考えだ。 押上-泉岳寺駅間は、現在も都営浅草線に乗れば約20分で移動できるが、大深度方式ならばカーブが少ない線路を敷いて高速で走らせることが可能となり、乗り換えも必要ない。将来的には在来線最速レベルの時速160キロ運転を想定する。土地買収が必要ないため事業期間は短く、「地震の揺れも地下が深くなるほど小さい」(政府関係者)こともメリットとしている。 (引用終わり) 平成30年代半ばということは、今から約10年後の2023年頃の話だ。私の印象では、第2次安倍政権は「まずは経済。歴史認識などは専門家の議論に任せ、外国とも協力すべきところは協力する」という安全運転が目立つ。理想と現実のバランス感覚に長けているという印象だ。 今回発表される見込みのこの直結鉄道は、外国から観光客をもっと集めるため、年間訪日者数2000万人という目標達成のためのプランだろう。確かに日本は首都の空港へのアクセスの良さという点では、韓国に負けている。韓国の仁川空港の場合、韓国国鉄(KORAIL)が運営する空港鉄道で乗り換えなし43分でソウル駅に到達できる。日本の場合、羽田が再国際化されたとはいえ国際線のメインは依然成田だ。成田空港第2ビルからスカイライナーに乗れば最速36分で日暮里に到達できるが、東京駅や品川といった副都心に行くには乗り換えが必要となって面倒くさい。そういった心理的な問題もあるだろう。その解決策として、都営浅草線の別線という形で羽田~成田直結鉄道の計画が持ち上がったのだろう。 実現すれば京急と京成が運営しているアクセス特急(エアポート快特)の大増発はもちろんのこと、小田急が千代田線で行っているように、京成電鉄が都営浅草線内でも特急運転をするスカイライナーを走らせるかもしれない。ああ、夢が膨らむばかり・・・と思うのは私を含めた鉄道ファンだけだろうか。 ちなみに東京の地下鉄で最も深い駅は、都営大江戸線・六本木駅の1番線(海抜マイナス42.3メートル)だ。大深度地下を活用した構造物は現在なく、鉄道トンネルはこれが実現すれば初の例だ。ちなみに西武新宿線では大深度地下を活用して線路を地下複々線化させる構想があったがいつの間にか中止になったらしい。 あとは技術の問題だけかもしれない。現実になる色合いが一気に濃くなった計画だ。