大阪市の公募校長、ついに2人目の退職者が出る。
大阪市の公立小中学校で推進されている、校長の全国公募。9月12日の日記で私は「失敗だったのではないか」と思っていたのだが、トラブルを起こして現場から外されていた吉田敬氏(大阪市立三先小学校・校長)がついに退職に応じた。このことから私は「校長の外部公募=善、いいことだらけ」の考え方は間違っていると確信した。 大阪市公募校長:セクハラ問題の校長 自主退職応じる(10月25日、毎日新聞) 全国公募で今春採用され、保護者らへのセクハラ行為で処分された大阪市立小の民間出身の男性校長(59)=更迭=について、市教委は25日、「校長の職責をまっとうできると考えがたい」と判断、校長に復帰させないことを決めた。別職種に就けない「任期付き校長」のため、市教委は同日、自主退職を求め、前校長も同意したという。 この日開いた教育委員会会議で、9月の更迭後に前校長が約1カ月間受けた再発防止のための研修の成果について、「信頼回復などの具体的内容が不十分で、復帰に向けた課題を直視できていない」と判断。自主退職を拒んだ場合は、分限免職処分も検討すると決めた。市教委は記者会見で、公募制度の選考や研修、支援態勢の不十分さを認め、「批判は甘んじて受けないといけない」と話した。 前校長は市教委に対して、「復帰に向けた研修のチャンスを頂き、感謝している。報いたいと取り組んできたが決定は受け止めます」と話したという。 市教委は、前校長が5〜6月の2回、PTAの親睦会で保護者の尻を触り、さらに「僕と会えなかったらさみしい?」などのメールを送ったとして、減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にした。【茶谷亮、山下貴史】 ◇今春11人採用…すでに6人がトラブルや不祥事 公募による民間人校長は、橋下徹市長肝いりで今春採用が始まったが、11人のうち6人が不祥事やトラブルを起こした。採用のための人物評価は難しく、問題が生じても配置転換できないなど制度上の課題も浮かぶ。明確な克服策を見いだせないまま、来春には市立小中高校で計35人を採用する方針だ。 市教委によると、今春採用分の公募に、民間からは928人が応募した。採用した11人は着任前、3カ月間の研修を受け、計3校で1週間ずつ「先輩校長」から実務も学んだ。しかし、住之江区の小学校長が着任3カ月足らずで退職するなど、問題が続発した。 それでも民間出身者は、3年間の任期付き校長として採用しているため、降格や職種の変更はできない。今回も、校長復帰を前提に研修していた。制度を推進してきた大森不二雄教育委員は25日、「任期付き採用が最善か議論したい」と述べた。 市教委によると、来春採用分への民間からの応募者は143人。リポートを3倍にして応募へのハードルを上げ、最終面接時間も2倍の30分に増やして人物を見定めるという。【山下貴史】 (引用終わり) 記事を読んで特に疑問に思ったのは、最終面接時間の短さ。来春採用分からは30分に倍増するということは、今春分は15分程度しか面接に時間をかけていなかった、ということだ。私は何度か私立学校の教員採用面接を受けたことがあるが、非常勤講師の面接に30分以上かけるところもあったと思う。ちなみに今年7月に仕事で不手際を起こして塾長先生に説教されたが、45分程度もかかった。その際、「Nishiken先生はなぜ教員になりたいのですか?」とも聞かれた。つまり、学校の非常勤講師だろうと、学習塾の時間講師だろうと、子どもの学習の面倒を見るというのは大変なことなのだ、と現在実感中だ。ましてや、学校の最高責任者である校長になると尚更だ。その校長がセクハラだの何だので不祥事を起こせば、批判の矛先は当然、校長の公募を主導した橋下大阪市長に向かう。 杉並区立和田中学校では公募校長(藤原和博氏)で成功した、という評価があるが、その公募校長が教育について非常に理解があり、改革への熱意が非常に大きいという個人的な理由で選ばれたのかもしれない。ひょっとしたら、藤原和博氏は本来は教育のプロでないにもかかわらず、教育改革を進めるのに有能だと認められ、それが全国から正当に評価された。ある意味で稀有な存在なのかもしれない。 仮に藤原和博氏みたいな人が全国にわんさかいるという認識があったとすれば、それは大間違いかもしれない。