JR三江線、廃止へ!~全国のローカル線廃止は待ったなし?~
本州の山間を縦断する路線が丸ごと消えることになりました。JR西日本が三江線(三次~江津間)を2018年4月1日をもって廃止することを決め、9月30日に国土交通省広島運輸局に廃止届を提出しました。本州で営業キロが100kmを超える路線の廃止は、史上初となります。 三江線は山陽と山陰を結ぶ連絡路線の一つとして1926年に工事が起工し、1930年に最初の区間が開業。その後、戦争による工事の中断があったものの、1975年に全線が開通しました。 しかしいわゆる陰陽連絡線としては全線開通の時期があまりに遅すぎました。他の路線としては、播但線が1906年に、山口線が1923年、伯備線が1928年に、それぞれ全通しました。すでに陰陽連絡線として定着していました。これに対して三江線が全通したのが1975年。大河・江の川に沿って走るために線形が悪く、しかも自動車の普及が進んでいる世の中で、利用客は当初から低迷していました。 他に廃止の理由として、大規模災害の多発が挙げられます。国鉄時代の1972年には5か月間、1983年には集中豪雨で約2か月間それぞれ不通になりました。JRになってからも2006年と2013年にはいずれも豪雨で長期間不通になりました。 「地域のための鉄道」が一番の理想だと私は思いますが、三江線は地方都市と地方都市を結ぶ路線。沿線は過疎化が進行。大規模自然災害にも対応できない。営業係数はJR西日本管内で最低の数字でした。営業係数は100円の利益を出すのにどれ程の費用が必要かを表した数字です。大阪環状線が58.8に対し、三江線は879.7(いずれも2013年度)。しかも三江線の場合、2008年度の746.1から大幅に悪化しています。詳しくは東洋経済オンライン「JR大赤字線は100円稼ぐのに800円も掛かる」をご参照下さい。 このことからも、JR西日本にとっても上場企業として苦渋の決断だったかと思います。JR西日本は数字だけを見れば不採算路線(越美北線、小浜線、小野田線、木次線など)を多数抱えています。 来年は国鉄民営化から30年です。JR各社は不採算路線の整理について本腰を入れてくるのでは、と考えています。