オーストラリアとオーストリー。
現在、「北九州市のとある高校」では定期試験期間中です。私は世界史の問題を作成・出題し、採点するという立場にあります。 どんな問題を出したかというと、(その中の一つに)16~17世紀のヨーロッパ。神聖ローマ帝国(皇帝カール5世の時代)が出てくるあたりです。神聖ローマ帝国は今のドイツ、オーストリー、スイスに相当する地域を支配していた国でした。 定期試験の答え合わせをしてたら、出てくるわ、出てくるわ。生徒の解答用紙には語群にない「オーストラリア」という国名が登場する。 「おいおいおい、ちゃんとした区別がつくのって、俺だけ?」 アルプスの麓であるドイツ語の国・オーストリア(英語:Austria,ドイツ語:Oesterreich)は、カンガルーやコアラがいるオーストラリア(Australia)とあまりにもよく間違えられてきました(間違い電話、間違い訪問など)。しかも、大使館の所在地もだいたい同じ(ともに東京都港区にある)。NHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」でもネタにされました。 そのため2006年に東京のオーストリア大使館が、「オーストリー」という呼称を提案したほどです。しかし約10年間、「オーストリー」という呼び名は全く定着せずに終わりました。 ちなみに私は今でも「オーストリー」という呼び名を積極的に使っています(ヨーロッパサッカーの「平成の」30年間)。 ドイツ語読みだと、エスターライヒ(Oesterreich)になります。1987年まで同国で開催されていたF1レースでは、エステルライヒリンクというサーキットが会場でした(フジテレビもそう伝えていました)。 ではなぜ、ドイツ語の国なのに「オーストリア」という英語読みになってしまったのか。理由が、リンク先に書かれていました。 「ちなみに、オーストリアが母国語のドイツ語名ではなく英語名で表記されているのは、この国が明治時代に日本との国交条約を締結するとき、その交渉をイギリスにアウトソーシングしたところに発端があるようです。当時オーストリア=ハンガリー帝国議会はアジアに植民地をもつべきかどうか議論し、結局「やめておこう」ということになりました。おかげで不平等条約を結ぶノウハウも全然蓄積されず。そこに目をつけたイギリスは、ちょっとした悪企みを考え付きます。それは、オーストリアから日本との条約締結を請け負って、欧米のどの国よりも不平等な条約を成立させ、それをネタにして「イギリスとの条約ももっと不平等にしろ!」と日本に迫ることでした。で、イギリスが自国の利権のためにせっせと動いたおかげで、オーストリアの国名も英語で日本に伝わったというわけです。オーストリアがこのとき条約締結の作業を自力ででやっていたら、今頃オーストラリアと間違えられることはなかったはずですよ。」 「オーストリーと呼んでますか?」(Pomfi様の「オーストリア散策」より) どうせなら、今からでもいいから「エスターライヒ」とドイツ語名に改名した方がいいと思うのは私だけでしょうか。 そうしたら航空会社の名前は「エスターライヒ航空」になります。国営鉄道は「エスターライヒ連邦鉄道」になります。 これでもう間違えられずに済む。と思うのは私だけでしょうか。