参院選2022の結果。全国比例区の場合。
前回に続き、第26回参院選の結果分析について書いていきます。前回は全体の結果と、一人区の結果について書いていきました。今回は全国比例区を見ていきます。 =全国比例区の結果= 自民党 18,258,791票(18議席) 日本維新の会 7,845,985票(8議席) 立憲民主党 6,769,789票(7議席) 公明党 6,181,431票(6議席) 共産党 3,618,342票(3議席) 国民民主党 3,159,110票(3議席) れいわ新選組 2,319,159票(2議席) 参政党 1,768,349票(1議席) 社民党 1,258,621票(1議席) NHK党 1,253,875票(1議席) 幸福実現党 148,020票 =開票前の予想(シリーズ・選挙で遊ぼう)= 自民: 19 維新: 8 立憲: 8 公明: 6 共産: 4 国民民主:3 れいわ: 2 参政: 0 社民: 0 NHK党: 0 それでは各党の結果分析を簡単に。 ・自民党は、2位・維新とダブルスコアの差で、比例区でも圧勝。3年前の参院選・比例区でも2位にダブルスコアでの圧勝でした。日本遺族会など旧来の支持基盤が高齢化で揺らぐ一方、マンガ家・赤松健先生を擁立するなど、新たな支持者の開拓に成功。さあ、赤松先生は「新たな視点を持った議員」として自民党を内部から変えるのか、それとも飲み込まれてしまうのか? ・2位につけたのは維新。松井一郎・大阪市長と吉村洋文・大阪府知事が公務そっちのけで全国を遊説しました。選挙区ではあと一歩のところで議席を獲得できなかった県もありました。しかし有名人をたくさん擁立した比例区で躍進。昨年10月の衆議院総選挙からの流れを維持しました。でも比例区では30~40歳代の若手が積極的に当選してほしかったです。当選者が猪瀬直樹・元東京都知事など後期高齢者が多くてつまらん! ・立憲は「比例区で野党第一党」の座を維新に奪われました。昨年10月の総選挙と比較して約500万票も減らしています。連合(特に旧・総評系☆)の組織内候補は無事当選した人が多いものの、ギリギリでの勝利という人が多かったという印象。もう「オワコン」と酷評されてもしょうがないでしょう。泉健太代表の進退問題に発展しそうな予感。ですが個人的には泉代表にはもう少し代表を続け、党内の意識改革や世代交代といった改革を進めてほしいです。 ☆総評・・・日本労働組合総評議会の略。1989年11月、連合に合流して解散。主に自治労、日教組、JP労組、情報労連(NTTグループの労組など)、と公務員や旧国営企業の労働組合で構成されていた。 ・公明党は予想通りの結果になりましたね。まさかここまで集票力が落ちていたとは。2005年頃は比例区で1,000万票に迫るほどの力を持っていたのですが。やはり創価学会の多くのメンバーが高齢化しているのが原因か?しかも、比例区の当選者は男性ばかりで、しかも谷合正明氏(49歳)を除くと全員が50歳以上。意外と「多様性に欠ける」という印象が強くなってしまいます。 ・共産党は3議席にとどまりました。12年前の水準に戻りました。2013年の参院選からの3年間が、共産党復活を予感させる時期でした。東京都議選では依然としてまだ強いものの、京都や長野といった従来支持が強かった地域でも維新などに票を奪われています。もう志位委員長ら幹部の刷新(世代交代)が必要でしょうね。 ・国民民主党は全体的には3議席にとどまり、現職1人が落選。ここも連合(旧・同盟系☆)の力が落ちています。でも昨年10月の衆議院総選挙からは約60万票も増やしています。特に自動車産業の県・愛知県では見事に存在感を示しましたね。地方組織が全国にできあがり、旧民主党系の保守系新党、「令和の民社党」として復活したと言っていいでしょう。 ☆同盟・・・全日本労働総同盟。1987年11月、連合に合流して解散。参加していたのはUAゼンセン、電力総連、自動車総連。かつての民社党を支持していた労働組合連合だった。 ・れいわ新選組は、3年前に続き、今回も重度の身体障がい者を特定枠に起用するという特徴的な選挙を展開。そしてタレントの水道橋博士氏が当選したことは、新たな価値観だとか多様な価値観を求める有権者がそれほど多いということでしょう。 ・参政党は今回の参院選で「台風の目」とされました。れいわ新選組が左派ポピュリズム政党なら、参政党は右派ポピュリズム政党という印象。でもその正体は、トランプ前大統領を思い出させるような陰謀論に立脚した政党でした。 参政党が社民上回る176万票を獲得した理由 10~20代男性の13%が投票(13日、西日本新聞) 日本は外国勢力に支配され、危機に直面している-。こうした主張を繰り広げる政治団体「参政党」が参院選比例代表で1議席を獲得、得票率3・3%で公選法上の政党要件も満たし、勢いを印象付けた。「政府も与野党もマスコミも外国の手先」「今こそ真実に覚醒し、日本を取り戻そう」との訴えがインターネットを通じて浸透。背景に既存政党への不信感がありそうだ。極右的ムードや陰謀論の広がりが懸念される。 選挙期間中の1日夜、東京・銀座。「日本が悲鳴を上げて泣いている。『助けて』と。声が聞こえる」。参政党の候補者が街頭演説で声を張り上げた。欧米資本の利益を代弁する政府が、有害な新型コロナウイルスワクチンを輸入して国民に接種し、命を脅かしている-。発言には、党が伝える「真実」への「覚醒」を促す狙いがある。 メンバーは、当選した元大阪府吹田市議で党事務局長の神谷宗幣氏や、元衆院議員ら。今回、比例代表に5人を擁立したほか、全45選挙区に候補を立てた。与野党は参政党の主張を「陰謀論」(野党筋)だと警戒する。 参政党は戦後歴史教育の打破も掲げる。過去の戦争は誤りだったとの認識は、戦勝国によるでっち上げだと主張。選挙戦では複数の候補者が「正義のために戦った」「素晴らしい大東亜戦争」と力説した。侵略や植民地支配を否定する歴史修正主義の影が付きまとう。 (引用終わり) 私のトランプ前大統領の印象は以下の通り。 ・反知性主義 ・信じられるニュースより、「信じたいニュース」を重視 ・何の根拠もなく「危機」をあおる ・自分たちに批判的な報道を「偽ニュース」と一方的に敵視する トランプ主義の政治家、政党こそ、もう今後の世の中には要りません。 ・社民党、NHK党は消えるかと思いきや残りました。2028年7月までに国民にどう印象に残すことができるかが勝負です。 そして幸福実現党などその他の政党は議席獲得ならず。 以上、第26回参院選・全国比例区の結果分析でした。