緑内障ピカピカ新薬エイベリス点眼液、本日発売です。
本日、日本が世界に誇る眼科用医薬品メーカーの参天製薬から、全く新しい機序を持つ世界初の緑内障新薬である、エイベリス点眼液が発売となりました。 私は患者様に勧められる目薬なのかどうか、常にまず自分が先に点眼してみて確かめるようにしています。とんでもなくしみるとか、変な目薬もたまにあるからです。そこでこのエイベリスも早速使ってみましたが、点し心地は悪くなかったです。これは大丈夫ですね。(笑) これは以前にも説明しましたが、「選択的EP2受容体作動薬」という、今までに全くなかったブランニューの効き方をする画期的な新しいお薬となります。具体的には、目の中を流れている「房水(ぼうすい)」を2種類の経路を使ってその流出を促進することで眼圧を下げてくれます。 一番気になるのはその効き目ですが、 現在緑内障治療でファーストラインとして使用されている名薬 キサラタン点眼液(一般名:ラタノプロスト)に比べて「非劣性」 であるというデータが出ています。つまり、 滅茶苦茶良く効く ということですね。 またキサラタンに代表されるプロスタグランジン製剤(他にはトラバタンズ、タプロス、ルミガンなどのお薬があります。)には、点眼によって目の周りが落ち窪んだり、黒くなったり、毛が生えたりという、患者様に非常に嫌がられている、 PAP(眼窩周囲症状 Prostaglandin associated periorbitopathy)と呼ばれている副作用 があるのですが、エイベリスはこのPAPが少ないと言われています。 ただその一方で、 結膜(白目)の充血や黄斑浮腫(目の奥の網膜の視力に関係する大切な部分の腫れ)などの副作用がやや多い という欠点があります。そのため、 白内障術後で目の中に眼内レンズが入っている患者様や、タプロス(一般名:タフルプロスト)という点眼液を使っている方への使用は禁忌 となっています。 さて眼科専門医として正直に言うと、このエイベリス点眼液はやや副作用が多そうで、「ちょっと気難しそうな薬」という印象はあります。ただその一方で現在緑内障治療のファーストライン(第一選択薬)である前述の プロスタグランジン製剤のPAPという副作用をものすごく、死ぬほど嫌がっている患者様というのは実にたくさんいらっしゃるので、そういった方々へのオプション的な選択肢としての魅力は凄くある と思います。 まあいずれにせよ、私達眼科専門医にとっては機序の異なる、全く新しい薬効を示す緑内障の新薬が出たことはとても喜ばしいことです。 緑内障と言う難敵と戦うのに、使える武器はいくらあっても困ることはない ですからね。♬ エイベリス点眼液が多くの緑内障患者様にとっての福音となってくれることを期待しています。