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2007.12.19
テーマ：時事的随筆(87)
カテゴリ：時事ネタ
『偽』 今年を表す漢字一字との事。
しかし、ま、『今年を～』と言うよりは 『現代を～』と言ったり、『日本を～』 とか『日本人を～』のほうが適切で あるかも知れない。ま、昨今では偽 の一字を冠したら中国の右に出る国 はないようではあるが、日本や中国 ばかりを論うまでもなく印度以東の アジア圏において『偽』は文化です らある。つまり、宗主国に経営されて きた植民地ゆえの現代的帰結であり、 独立もしくは解放の後も国の根幹を 成す経営も思想も植民地スタイルで あればこその必然が『偽』なのだろう。 高価で貴重な本物を持ってるのは宗 主国の面々である。植民地に住む者 どもは本物など見ず知らずのものに 過ぎない。精々が写真で見たり、宗主 国の旦那様から教えていただいたり するのが関の山。 でもやっぱり本物が欲しい。でもそれ らはひどく高価で手が出る筈もない。 でもどうしても欲しい。みんなが欲しが る。みんなが欲しがるほどに本物の 数は多くない。 じゃあ、どうするか。 偽物を作るしかないのである。 偽物は安価で大量生産が出来るから 誰の手にも入るのである。はっきり言 って我々が持っているものの多くも又 偽モノだ。時計であれ、バッグであれ、 靴であれ、家屋であれ、情報であれ、 その大半はどうでもいいようなガラク タなんである、旧宗主国の旦那様方 から見れば。 一般に言うところのブランド品の真贋 は関係ない。仮に我々が偽物ではな い本物のブランド品を購入したとして も、沢山たくさんそれらを買い漁って 持ってる数の多寡を誇らしげに語った にしても、旧宗主国の面々は歯牙に もかけない。「けっ、猿が」ってなわけ である。 つまり本物か偽物か判別の基準は、 鑑定書でもなければ金額や購入店の 問題でもない。それを買う者、有する 者、使う者の思想のありかたこそが 問題なのである。 旧宗主国の面々が持ってるものばか りを欲しがる我々には悲しいかな植 民地根性が染み付いている。魂の奥 底にまで染み入っていて、思想などは これっぽっちも持ち合わせていなかっ たりする。 ブランド品の時計や靴やバッグを最 高級品とし、走る場所もない３００キロ の時速を出せるスポーツカーやクルー ザーを欲しがり、二年か三年ちょっと 儲かっただけで億の土地と屋敷を購 入しては損失を出すたびにそれを手 放し、誰も彼もがセレブセレブと発情 した畜生の鳴き声か何かのように連 呼する。 これ、まるで猿である。 宗主国の旦那様に飼われた猿である。 猿に思想はない。だから猿なのだ。猿 だから猿マネ。旦那様のマネ。上手に マネをすれば旦那様から評価される。 旦那様の奥様も喜んでくれる。だから もっと上手にマネをする。 思想も誇りもないから只の猿まねとな り、偽物としての価値しかそこに見出 せない。 ま、確かに日本は植民地って認定を 連合国側からされたわけでもないし、 日本人の多くも日本が植民地だった とは思っていない。でも、日々の暮ら しを少しばかり俯瞰してみりゃ、我々 はやはり限りなく植民地に近い扱い を、戦後六十年以上も経った今もま だ旧宗主国側より受け続け、強いら れているのである。 沖縄には身近に米軍基地があるから それが判り易いが、本土だって結局 は同様である。駐屯軍を置くことだけ が植民地の証ではないのだが、皆さ んメジャーリーグだのセリエＡだのオ リンピックだの旧宗主国側のスポーツ 観戦に忙しくても、日本が置かれた文 化状況や国際政治情勢などは気にか ける余地もない。無論、それは一市民 に限った話ではなく、上も下も右も左 も大同にして小異。政治家にしてやは り植民地のそれである。何ごとも旦那 様の御機嫌あってこそ。 で、誰も彼も口を開けば感動感動、 感動をありがとう。と念仏の如く唱え 始めるから始末が悪い。我が国で執 り行われているスポーツ産業はまさし く猿を涅槃に導かんとする宗教の様 相を呈している。これもまた旧宗主国 様の思うが侭。 そうして『偽』が着実に、急速に、蔓延 ろうとしてる間に、我が国に本来あっ た筈の本物は今や全壊全損の危機に 直面し、瀕死の渕で蠢くばかりである。 だが。 本物を持つに難しいことなんて何もな い。旦那様からもらった偽モノを本物 にすることも出来るし、路傍の石ころ 一つが本物としての意味を持つ事だっ て出来るのである。 でも誰にも拾われなければそれは只 の石ころだし、拾った誰かが値段を 付ければそれは偽モノになる。だって 端っから石ころに値段なんてないのだ。 でも我々は値段の付いた石ころを喜 んで買い漁る。それが経済であるとの 大義を掲げ石ころを大量生産し、石こ ろをあの手この手で売るのである。 そんな状況の改善または好転の余地 は既にないようだ。心も魂も、我々は 何処かへ忘れてきてしまった。 我々に出来ることと言ったら… そう、何もない。開き直って物欲の権 化の如きものと成り果て、黄金を全身 にちりばめ、美食なるものを皿まで喰 らおうではないか。それとも厭世の徒 となり果てコンクリートの荒野に野垂れ 死にしようか。 否々、結局は本物も偽物もすべては うたかたの夢である。気に病むことも 気を揉むのも無用だ。ヒトのあるべき 姿。全速力で向かうは滅びの時。 嗚呼、どうしてだかシニカルな結び。 ま、お題が『偽』だからね。仕方ない か。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2007.12.19 11:27:19
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