テーマ:人についての記録(7)
カテゴリ:パーソナル
こちらが挨拶なんかしても連中はまとも
に返そうとしない。 食堂で隣り合わせようと、同宿に居合わ せようと、同じ長距離バスに乗り合わせ ようと彼らは『キミたちみたいな何もわか っていない上に物質文明にドロドロにま みれた煩悩の虜どもとは関わりたくない んだよねェ。わかるゥ?俺って解脱者だ から。ね。わかる?いや、わからないか も知れないけど俺、解脱してるから。キ ミらとは違うから。そこんとこ夜露死苦』 とでも言いたげな高慢ちきでエラそうな 顔をしてみせるだけなのである。 連中の行き先といやぁどいつもこいつも バラナシ、バラナシ、バラナシ、バラナシ、 バラナシ、バラナシって具合で、時折そ れにラダックとかリシケシュとかチベット よりの地域も混ざったりはするところみ ると基本的に彼らの目にはガンジス川 とチベット山脈しか映っていないようだ。 これは推察でしかないが、彼らの視界 には人の顔などほとんど映っていない 筈である。勿論、特定の人種を除いて。 彼らの目に映りこむその特定の人種と は言うまでもなく聖者様、教祖様、尊師 様なのだろう。それとも釈迦か。ま、なん にせよ彼らは一様に家庭や家族や会社、 学校なんかの各種団体の、更に言えば 日本という社会制度の呪縛から解き放 たれたような素振りでは一見あるのだが、 結局は宗教という名の団体に入り直し ているに過ぎないわけで、やっぱり誰か お父さんになってくれる人がいないと不 安でしょうがないのかと。 以前は私は、その手の男性と東京の街 でお逢いする機会があったが、彼は自ら を語るストーリーの中で、自分はチベット の秘境で厳しい修行の果てに世界と森 羅万象のすべてを手中におさめた者だと 主張しつつちょっと胸を張ったぐらいにす るので笑っちゃったことがあった。 だめだよぉ~そんなこと自慢げに他人に 話しちゃ~。ってな感じだろうか。 でもよく考えてみるに、お父さんが居て くれて、すごいねすごいねって認めてく れる友がいないとやっていけないんじゃ まるで市井の者であるところの私なんか と一緒である。せっかく秘境まで行って ツライ思いをしてきたのに元の処へ戻っ てしまったのだろうか。 あと、修行の地に行くのに”地球の歩き 方”や”ロンリープラネット”を大事そうに 携えている人とか、日本人とは喋らない って頑なに決めてる日本人女性の修行 者とか、まぁまぁまぁまぁ妙な方が沢山、 大勢、五万と居て、それらの方々の生態 や言動を観ているだけでもインドは面白 い。 これ、皮肉でもなんでもない。本当に面 白いのである。 【続く】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.01.20 08:42:49
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