人間仁科のブログ・八重山見聞録外伝

専用アイテムが昨今のトレンドである。例えば台所用品。ミルひとつとってもコーヒー豆専用ミルから緑茶専用ミルからスパイス専用ミルまである。で、本来、汎用型器具なのに専用型となってるのはキッチン専用ライト、キッチン専用バサミ、キッチン専用スケールなどがあり、もっとこだわりたい方の為にキッチン専用抗菌スリッパやキッチン専用抗菌エプロン、キッチン専用抗菌手袋なんてものまで用意されている。食材や料理に特化した専用器具ならパスタ専用マシーン、パスタ専用鍋、ワッフル専用マシーン、ホットサンド専用マシーン、ピザ専用オーブン、オムレツ専用フライパン、チーズ専用おろし（抗菌グリップ付き）、野菜スライサー（抗菌仕様）、ミンチマシーン（抗菌仕上げ）、パン専用蒸し器などなどがある。多分まだまだ専用マシーンはある。調べればこの三倍や四倍くらいの専用器具が出て来る筈である。

確かにあるわけだが、それらを全部、と言うかほとんど網羅した台所に私は入りたくないし、そんな台所や専用器具の数々で日替わりに作られる料理を私は食べたくない。

乾杯→テレビの本文中でも使ったフレーズだが、このような専用器具専用マシーンを揃えようという方は間違いなく病気である。完全にパラノイアである。発症一歩手前なんではないだろうか。おそらく。旦那の浮気が発覚するとか、姑にひどいことを言われたとか、旅行中に友達にあずけた息子のカブトムシの足が一本取れていたなんてイージーなことで簡単に発症する筈である。

って言うか台所を専用マシーンで埋め尽くそうとするあたりが、もう既に発症してんのかな。

世界の料理の数々を作ることに大した意味はない。旨い料理を作ればそれでいいのであり、それは専用器具なんて取り揃えなくとも誰でも作れるのである。心を置き去りにして形に囚われるのはもういい加減やめにしようではないか。料理だけではなく、なにごとも。