カテゴリ:時事ネタ
解体。
戦後我が国の政治経済のコアを担う連中が成し遂げたニッポンのひとつの形である。 第一次産業を解体し、地方都市を解体し、地域社会を解体し、大家族を解体することで一般大衆の政治力の結集を未然に防ぐのと同時に消費単位を分割拡散することで末端からの搾取を強化してきたのである。勿論コアに巣食う連中の既得権益を守るために。 そのためにはより効率のいい搾取のシステムを構築せぬばならない。各人がばらばらになって自室で過ごせば間違っても反権力的な政治力とはなり得ず、解体された皆がそれぞれの自室に冷蔵庫やテレビやPCを持ちたがるから無駄に無用にモノが売れるし、電気も水道もガスも余計に消費してくれるのである。政財界にとってまさに理想的搾取形態だろう。 しかし解体の力の慣性モーメンは相当に大きく、バブルがはじけようと中東界隈やアフリカ各国で戦争紛争が頻発しようと、同時テロが世界中で頻発しようと我々は解体モーメントの只中で、まるでこれから先も停滞期はあれど絶え間なくずうっと経済成長を続けられるなどという(どんな馬鹿でも少し考えればあり得ないと理解可能である著しく低レベルな)幻想を個人所有のブルーレイDVDで見せつけられ、私たちは顔を真っ赤して液晶画面にかじりついている。そして発狂する。 うぅ…なんてシニカルな言い草だろうと我ながら思うのだが、これもまた無理のない現実認識なのだから仕方がない。ま、そうは思わぬ人も世の中にはいるだろう。例えば小泉某とか竹中某あたりか。そして世の中の人たちの大半はそのお二人に靡き(なびき)、縋り(すがり)、死ぬまで同調するのだろうからその人たちにとってこの世界の認識は私がここで示している世界観とは又別物だろう。 どちらが正しいかなんて私は問わない。どちらが正しくとも関係ない。おそらくニッポン以外の人たちから見ればどちらの認識もお笑い種でしかないかも知れないし。アホかって日本人。おまえら百年も持たずに全滅するワ(笑)。なんて一部外国では思われるようであるし。 ま、それはそれでいいとして、仁科たかしと言う日本人によるニッポンの認識は『結構やばいところにいるんじゃないの俺ら』ってことに尽きるのだ。 俺らは今もまだ解体モーメントの中で身動きのとれぬままに、身体も仕事も生活も結婚も生きるための何から何までばらばらにされ続けているのに、ばらばら具合が進行するほどに自虐的に笑っているおぞましき民族なのだ。 今、私たちの周りに散らばっているのはばらばらに解体された自我であり、勝ち組だ負け組みだセレブだ派遣ぎりだイジメだひきこもりだお受験だ俺様だと他者も他人もほとんど目に入らずに極小サイズのちっぽけな自我しか注意を払えぬような連中が社会的上位者の大半を占めており、そればかりか圧倒的多数派である筈の社会の底辺で暮し生きている人たちまでが同様の病態を示しているのだから救いがないではないか。 ひどいもので、上から下までこれじゃ革命も変革も起こりようがない。だから日本じゃ海外のあちらこちらで散見できるような社会的問題による暴動が絶対に起き得ないだろう。誰も彼もがばらばらで、人と人とがばらばらなだけでなく各人もまた微細なまでにばらされた自我のケアとメンテナンスに精一杯であるからその大変さに比べたら社会的問題なんか注意を払うような大して重要なことでもないのである。って言うかそこに目を向けるためには自我にもう少しまとまりがなくてはならないし、そのサイズアップもしなければならないが現状を見る限りは微細サイズが集合およびそれに伴う拡大を為しえるまでには今しばらく時間が掛かるようだ。 それに、次に集合拡大のタイミングを得るのは真の動乱期であり、それ以外にニッポン人のこの病態を快方に向かわせる手立てはないだろうから私はそれまで八重山でのほほんと過ごしたい。なぜならば八重山の社会は本土ほどの解体には程遠く、本土ほどに解体されるまでに本土の政財界が関与してくるとは到底思えないのである。此処八重山はマーケットとしては小さすぎるし、本土から遠すぎるから。 ま、生きているうちにその機を迎えるか否かは全くわからぬが、思うに今世紀半ば私たちは次の時代ってやつに片足を突っ込む気がしてならない。それはおそらく合衆国の解体から始まるってのが私の精一杯皮肉な予期である。 合衆国にシンパシーを抱いている若いニッポン人たちが認めようと認めまいと合衆国政府にとって我々はあくまで前世界大戦の敗戦国であり、彼らの半植民地であり、彼らのマーケットとして、基地として社会基盤を整えられた我々の現状は宗主国としての合衆国なしには語り論じ得ないのであり、我々が真に日本人としての誇りと社会制度を持ちえるためには合衆国の著しい干渉を解くしかなく、それには今一度戦争をやって勝つのが手っ取り早いが選択肢としては手っ取り早くても現状勝てる見込みはないし、国内にこれだけ米国シンパを持ってしまうとその選択肢はなかなか選べない。 ってことはやっぱり合衆国の自壊を待つしかない。自壊してくれて呪縛を解いてくれるのを我々はじいっと待つしかないのである。 しかしそれまで生きていられるのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.01.11 10:28:20
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