新規受講者の皆様、
講義をお送りします:
以下は、数年前に送付した講義です。英語を訳するという事の
真髄をご説明します。
通翻訳で求められる能力か技術は色々と多岐に渡りますが、
その1つが、「言い換え」の能力です。
言い換えの例を出します:
皆様、おなじみのSOUND OF MUSICのストーリーで、
トラップ一家が、歌を歌う様になって生活をしのいで行くときに
1) Our hobby now was our business. というセリフがありますが、
これをこのまま訳すと、
「私達の趣味が、いまや 私達のビジネス・仕事となりました」
となりますが、今ひとつ、ピンとしない訳になります。
学校では、これで正解かもしれまんせんが、日本語が死んでいます
読む者の心に訴えていない言い方です。次の様に考えます:
・hobby=趣味=楽しみでやっている事。
・business=ビジネス・仕事=生活の糧
それぞれ、hobby とbusiness を、意味を変えずに状況に相応しい訳語に言い換えます。
「今まで、楽しみでしていた歌が、いまや、生活の糧になりました」 という意味ですね
英語の色々な意味を、その発話状況に合わせて、
意味を変えずに言葉を言い換えることが、
通翻訳の1つの技術です。これは、英語会話能力にも結実します。
言い換えが出来る様になると、英語の単語の本当の意味(英英辞典に
載っている様な定義)が、自ずと判る様になります。
★つまり、日本語の力で英語がわかるのです。
英⇒日の場合、上手く言い換えが出来て、上手く訳する事が出来れば、
逆に、日⇒英の時も上手く行きます。よく私が「機転」を利かせて訳しましょうといいますが、
この「機転」こそ、言い換えの技術です。
英⇒日の場合、自在に、言い換えが出来る様になれば、
日⇒英、例えば、 “belong to the same family”が、「同じ属目です」「出所が違う」
「血筋が同じ」という言い方に対応出来ると判ります。
英⇒日の場合、訳すコツとして:
1) 単に英語(単語)を日本語に訳さない。
2) 発話状況をよく考えて、意味を換えずに、言い方を換える。
これが瞬時に、且つ、常時、出来る様になると
3) 日⇒英の場合、上手く機転を利かせて訳せる様になります。
[2]別の例: We’ve lost our children and you’ve lost your homeland .
というセリフがありますが、
「私達は、子供を無くしたけど、トラップさん達は、帰る所をなくしてしまったのね」
homelandは、故郷ですが、つまり、「帰る所」という言い換えをしています。
私が展開しております翻訳講習では、
中学校の教科書を使って、問題を出しておりますが、
この目的は、
[1] 英⇒日:言い換え技術で、英語の意味を
発話状況に合った訳で解釈する練習
{2} 日⇒英:[1]の言い換え技術を応用し、
日本語を英語にする練習
中学校のテキストなど、受講者の皆様の中には、
軽視する人もいるでしょうが、絶対にそうではありません。
上述の訓練目的があります。
事実、この中学校教科書のストーリーの英語を
きちんと理解する受講者の方はいないですね。
つまり、きちんと英語がわかっていない証拠です。
この点、よく把握されて下さい。
さて、上記の「言い換え」の技術は、
日本語の能力が基盤となります。
「言い換え」の技術を高くする練習こそ、
「新聞投稿」です。字数が限られた原稿用紙に
自分の意見を網羅させるには、
表現を意味を換えずに、縮小したり、
拡長したりする事が必要です。
これは、実際に、皆様で試してみれば、よくお判りになります。
新聞などにご意見を投稿することをされてみて下さい。
ご質問は何なりと
末次通訳事務所 英語通訳 末次賢治 拝
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最終更新日
2010年06月04日 18時42分21秒
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