Aug.6th-その1【日本語(の文字/言葉)は信頼できません!!】
昨日、高校野球の開会式を観ておりました。
そこで、ゲスト解説者(バンビこと坂本投手です)から下記の発言がありました
「そのチームがとても強かったという印象を覚えています」
これを訳してみて下さい
I remember that the team was very strong.ですね
I remember my imression that the team was very strong.という事はありませんね
「日本がおかしいですね」⇒印象を持っています となりますね、
日本語の表面的な言葉そのものは信頼できませんです
印象を覚えている、というのは、今でも覚えているですから
rememberで良いですね
高校野球の中継や入場行進やチーム紹介などの映像は通訳の良い練習です、
その様な視点からも、御覧下さいませ 特にチーム主将や選手らの発言です、
そして、先に申さなければなりませんのは、
この手のスポーツ大会では、
必ず次のセリフがあります
スポーツの大会で、関係者の挨拶などで、
「日頃の練習の成果を存分に発揮して下さい」
というセリフが必ずあります
これは、皆様はどのように通訳しますか??
これを課題とし、次のセリフも課題とします
週末818までゆっくりお考え下さい
甲子園でまだ1勝も挙げていないチームの
キャプテンのセリフ
「歴史を作りたい」
選手(ショート)のセリフ
「史上最高のショートを目指したい」
アナウンサー
「中尾キャプテンがこの後、選手宣誓です」
選手のセリフ
「被災地に笑顔と元気を届けたい」
清涼高校野球部のセリフ
「松井さんの前で負けられない」
アナウンサーのセリフ
「この高校は、甲子園100勝まであと1勝です」
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末次通訳事務所・末次賢治拝
恒例の講義です:
【原爆投下の要因となった「黙殺」の表現】
毎年8月は広島/長崎の原爆投下日と終戦記念日です:
特に、本日、8月6日は、「広島への原爆投下の日」となります
原爆投下の要因には、多くの事実があったでしょうが、
そして、多くの事実や要因が折り重なって、投下になったのですが、
その1つに、当時の日本人翻訳者の「誤訳(日本語⇒英語訳で)がありました。
これは史実です。皆さんご存知でしょうか?
昭和20年7月末、連合国軍は日本側の無条件降伏を促す
「ポツダム宣言」を発表。
これに対し、時の日本側の宰相・鈴木貫太郎氏は「帝国政府はポツダム宣言を黙殺する」と回答。
この返答に於いて、仮にも「ポツダム宣言の受け入れを承諾する」などと言おうものなら、
いくら宰相といえども、<売国奴>として軍部に抹殺されかねません。こうした中での、鈴木宰相の
<苦渋の表現>でした。
この「黙殺する」との言葉は、実際には、「当面は据え置く」の意味合いで宰相は使いましたが、
通訳者は、これを文字通り、【ignore】と訳しました。当時のそのままの英語訳は正確には存じませんが、
おそらくは、
【We(日本側) have decided to ignore the acceptance of your Potsdam Declaration.】という感じの
英訳でしょうか。
いずれにしても、<黙殺する⇒【ignore】>と英訳しました。
【ignore】は「無視する」の意ですが、
このignoreは、「申し入れを相手にしない」=「申し入れを断る」との意と同じことなのです。
この英訳回答を受けた連合国軍側(the Allied Powers)側には、
ignore=「拒否する」の意だと解し、
その為に、広島、長崎へ原爆が投下され、ソ連が満州に軍を進める結果となった、というのが史実です。
日本人は、「腹にある本音」と「使う言葉」にズレがある場合がよくあります。
通翻訳者泣かせの<日本人の特徴>です。
【帝国政府はポツダム宣言の受け入れに付いて、
これを当面の間、結論を据え置く】を明言しておけば、
「黙殺する」というよりもより良かったのでしょうが、
日本側には戦争中のプライドもあり、
力強く「黙殺する」と言う必要があったのでしょう。
さて、皆様、
「ポツダム宣言の受け入れに付いて、これを当面の間結論を据え置く」と英語で言う場合、
皆様なら、どの様に言いますか?宿題にしますので、
真剣に考えてみて下さい。
ご質問は何なりとどうぞ!Any question is welcome. See you next month!!
Ken Suetsugu [電子メール:fuku@eos.ocn.ne .jp ]