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千菊丸2151@ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
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仙人草21@ こんばんは。    mifessさんへ お元気でお過ごし…
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Feb 11, 2011
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 自分に苦しいことがあって、それを逃れるために、誰かにあたっても、気持ちは晴れることなん

てないのに。誤魔化しは、何処まで行っても誤魔化しでしかない。

 その日から、ぼくは何となく北くんが気になった。

今、ターゲットになっているのは清水くんだ。清水くんは、学校に来なくなった。

 北くんたちが教室から出て行ったのは、次のターゲットを誰にするか、決めるためなのだろうか。

気が重くなってしまった。

 ぼくは牧野先生に、呼び出された。

「考えてもらえたかなぁ?」

 先生は笑顔で、すぐにそう訊いてきた。

「学校の裏の、川の清掃をみんなでしたらいいと思います。綺麗にして、蛍を育てて、飛ばしたら、

みんな喜ぶと思います」

「えッ?えッ?そっかぁ」

 先生の目が一瞬、宙を泳いだ。

「蛍?いいなぁ。うんッ、すごくいいんだよね。蛍までは考えなかったんだけど、綺麗にしたいと

先生も、何度か思ったことがあるの。この川、私有の川なんだよ。上流まで遡っていくとね、道路

につきあたるの。ちっちゃな、欄干がない橋がかかってるんだけど。橋からこっちが、私有地なん

だって。だから、川も私有になってるんだよね。

ちょっと、難しいかもしれないなぁ」

 先生の言葉に、ぼくは、がっかりしてしまった。

「ぼく、その橋まで行って、見てきました。綺麗にするんだから、別にいいんじゃないんですか、

持ち主がいたって。ちゃんと断わっとけば」

「ん?簡単にはいかないんだよ。

持ち主が、もうこの土地に住んでいないからなの。

関東の方に住んでるらしいということまでしか、分からないんだよね。池永くんが言うように、

ちゃんと断らなくちゃいけないしね?

池永くん、上流まで行って調べて来たのね?」

 ぼくは、失望しながら頷いた。

「池永くんが折角、足で調べて来てくれたんだものね。蛍、いいしなぁ。

アイディアもいいしなぁ。

よしッ、先生、もう一度持ち主を探してみるッ。

持ち主の了解がないと何もはじめられないものね。もうちょっと、待っててね?

探して了解を得たら、すぐ実行しよう。校長先生も説得して味方にしなくちゃね」

 先生は真剣な顔をした。

「ありがとう、池永くん。よ~し頑張るぞ~」

 先生はガッツポーズをして、にこりと笑った。

授業のはじまる時間だった。

 

 その後、何日経っても先生からは、川の持ち主の話がどうなったのか、知らせてもらえなかった。

どうなったのだろう。

時間がかかりすぎている。今年の夏、蛍は飛ばせないかもしれない。

ぼくは、じりじりしながら待っていた。

 それから、また何日も経った。

待っていても仕方がない。

もう、先生に訊きに行くしかないと決心した。蛍、蛍と、とても焦っていたから。

急いで椅子から立ち上がった時、もう気持ちは走り出していた。ぼくはやられてしまった!油断し

ていた。

 さっとやって来た北くんの定番、足を引っ掛けられてしまったのだ。ぼくを密かに観察して隙を

狙ってたのかもしれない。

ぼくは、同じ石に何度もつまずいたことになる。

 転びそうになって、他の人の机にバンッと、手をついてしまった。びりっと、痛みが走った!

「北くん!何時までこんなことしてる気なんだよッ。いい加減にしろよ!」

「いい加減にしてるよ、オレは。ただ、お前が、むかつくからよ。ははは」

「ぼくだって、むかついてるよ。北くんにィ。でも、ぼくはこんな汚いやり方はしない!」

 ぼくは、手の痛みを堪えながら怒鳴った。

周りの空気が、凍っている。

誰もが、話を止め、息をつめている。でも、誰も直接こっちを見ない。

無関心じゃない無関心だ。

「ぼくは、見たんだよ、北くん!」

 腹いせに、思わず言っていた!しまったと、思ったけど、もう間に合わない。

言ってはいけないことだってある。みんなの前では。

言ってしまったら、いじめが加速し、もっともっと根が深くなるだけだ。

 ぼくは、うろたえてしまった。

北くんは、ぼくがうろたえたのを見逃さなかった。

「見たッ?何をだよッ。何を見たんだよォ。言ってみろよッ」

                                  つづく
 













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Last updated  Feb 11, 2011 11:13:18 PM
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