科学オリンピック
昨日書いた,東工大の新型入試について,色々なコメントをいただきました。みなさんの関心が高いようですね。この記事をみて最初に思ったのが,科学オリンピックのことでした。第1回数学オリンピックは1959年,ルーマニアで開催されました。それ以後,1967年物理,1968年化学,1989年情報,1990年生物,1996年天文と拡大されてきました。20才未満の専門教育(大学教育など)を受けていない者が対象となっており,国内予選を経て国際大会に出場します。科学オリンピックは2日にわたって理論と実験の2種類(数学は種類無し)の問題を各々4~5時間かけて解く,科学に対する理解と創造力を競うコンテストです。その問題は高校レベルを超え,また実験には高い技術がもとめられるので高校では身につけることが難しいレベルが出題されます。このため,国内予選では国際レベルとは異なる問題により,素質を持つ者を見いだすことに主眼がおかれ,オリンピック参加候補者を選抜し,国際レベルの問題に対応できるようにトレーニングを行っていきます。日本での取り組みは遅く,1990年に数学オリンピックへ出場したのが最初で,化学オリンピックは2003年からです。国内予選の化学グランプリの問題はこちらで見ることができます。入試問題とは違う化学の問題に一度触れてみてください。ただ勘違いをして欲しくないのは,入学試験とは性格が異なるものだということです。この科学オリンピックのような問題が入試で出されたら大変なことになります。あくまでこれは科学的才能に恵まれた人を見いだし,さらにその才能を伸ばす機会を与えるためのものであって,万人が解けるようには設定されていません。しかし入試は,複数の教科に渡って学習をし,平均的な力を見る試験です。ずば抜けた才能も一つですし,様々な知識が絡み合って発揮できる才能もあります。ですから,解けない,理解すらできないからといって悲観的にはならないでください。大学入試も自分の才能を磨くいいチャンスです。人それぞれの道があります。自分の才能を一番発揮できる道を見つけて欲しいと思います。それは大学へ行くことではないかもしれません。ただ,勉強は無駄にはなりませんからできるうちにしておくのが一番なのです。僕はというと・・・科学的才能に長けているわけでもなく,勉強が良くできたわけでもありません。ただ,教えることが好きで,化学を教えることが楽しいと思うからここにいます。色々なことに関心をもち,とことん調べてしまう性格です。車,バイク,F1,ギター,ヘビメタ,カメラ,時計,税金,飛行機,軍事,パソコン,歴史,芸能,小説,水泳,スキー,自転車,ブラックジャック・・・熱しやすく冷めやすいのが欠点ですね。そんな性格は研究には向いていませんが,教えるという仕事には向いていると思います。