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2008年08月16日
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カテゴリ:戦争
ウラン汚染の現場トゥワイサ
>
>  イラク攻撃の最中の2003年4月、イラク最大の核施設「トゥワイサ原子
> 力センター」に米軍が侵攻した。
>  イラク攻撃の最大の口実は「大量破壊兵器の製造、配備の疑惑」であったか
> ら、この施設の重要度は最高級であったはずだ。核兵器開発をしていたとすれ
> ば、この施設が中核施設だったはずだからだ。
>  ところが実際には、米軍は施設の扉を破壊し、UNMOVICが行った核査
> 察の際に封印されていた建物や設備の封印を破壊しただけだった。施設の警備
> もせず、米軍が去った後に、「略奪」が始まったとされる。
>  粉末状のウラン「イエローケーキ」が入っていたドラム缶が持ち去られ、中
> 身は途中の川や路上に捨てられた。セシウムやストロンチウムなどで汚染され
> た廃棄物も施設内外にまき散らされ、住民の多くが急性放射線障害に苦しみ、
> 犠牲者も出たと言われる。
>  グリーンピースが6月に現地を訪れ、放射性廃棄物の回収と汚染の測定を行
> い、米軍やIAEAなどに施設の管理と汚染の除去を求めた。
>  この事件は、米国のイラク攻撃が「大量破壊兵器の脅威と拡散防止」などと
> 無関係であったことを「実証」した事件でもあった。
>  その気になれば、武装勢力は大量のダーティボムを造ることが出来る程度の
> 廃棄物を持ち出すことさえ可能であっただろう。
>  その後米軍は施設の廃棄物やウランの管理を行なうようになり、何度かにわ
> たり放射性物質を運び出していた。その一部が今年7月に輸送され、ようやく
> この施設から「イエローケーキ」が無くなったと報道されたのだ。
>  ウラン輸送作戦は、今年7月7日にカナダのカメコ社が概要を発表して初め
> て明らかになった。
>  550トンのイエローケーキを3500の容器に入れ、陸路グリーンゾーン
> 内部のバクダッド空港に運び、そこからC-17輸送機に積み替え、37往復
> でインド洋のディエゴ・ガルシア島に運び出した。
>  そこから輸送船に積み替え、数週間をかけてモントリオール港に運ばれたと
> いう。
>  ウランの所有者はイラク政府であり、このイエローケーキはカナダのカメコ
> 社に売却された。カメコ社は世界最大のウラン製錬事業者である。
>  カメコ社はこのウランを濃縮し、核燃料に加工する計画だという。
>  ウラン価格が高騰し、550トンのイエローケーキが通常の市場価格で取引
> されたとすれば6千万ドルから1億ドルの価値があるのだという(ウラン価格
> が半年くらいの間に急落しているため契約時期によっては大きな開きがある)。
>  しかし、イエローケーキだけが放射性廃棄物ではない。その他の廃棄物はま
> だ残されたままだという。
>  ウランが除去されたとしても、2003年に発生したウランやその他の廃棄
> 物による環境汚染はまだ終わっていない。周辺環境の汚染や住民の被曝に対し
> て対応したという報道はない。IAEAや米国が懸念をしたのはイラクの放射
> 性廃棄物が武装勢力などに渡ることだが、それ以前に施設を破壊し、放射性物
> 質による汚染を放置し、流出するがままにした責任を誰が取るのか、事件は終
> わったわけではない。
>
>  六ヶ所再処理工場不良固化体生産
>
>  再処理工場の工程の最後にあるのが、廃棄物処理工程である。そのうち、高
> レベル放射性廃棄物は、ガラスと混ぜて固化体にし、ステンレス製のキャニス
> ターと呼ばれる容器に詰められる。
>  日本の核開発計画では、このガラス固化体を50年ほどの期間保管し、その
> 後地下300メートル以上の深さに永久処分される計画になっている。
>  ところが、六ヶ所再処理工場内のガラス固化体製造設備は、2007年11
> 月にアクティブ試験第四ステップの最中に始まったが、白金属元素の滞留によ
> りガラス固化装置が詰まり、2007年12月に中断、その後固まったガラス
> と白金属を取り除く作業を行った後に多くの批判を押し切って7月2日に再開
> をした。
>  ところが再開間もなく数百グラムのガラスが固化体容器に流れたもののすぐ
> に流下は止まった。試験はまた中断した。
>  日本原燃は7月中にアクティブ試験を終了する予定だったが、この事態を前
> に、見通しは全く立たなくなった。
>  ガラス固化体を製造するプラントは、東海再処理工場にもあり、これまでに
> もトラブルを起こしてきた。六ヶ所再処理工場も東海のものをそのまま転用し
> たのだが、結局何の進歩もなかったことになる。
>  これほどいい加減でずさんな設備が、日本の核燃料サイクルの要となってい
> ることに、国も事業者(この場合は電力)もほとんど危機感を持っていない。
>  そのうちいつかは実用になると高をくくっているのか、だとすればこれまで
> の経験に何も学んでいないと言うことだ。
>
>  六ヶ所再処理工場直下に有力活断層
>
>  再処理工場の東側には、海に向かって段丘面が続いている。この地形の特徴
> を東洋大学の渡辺満久教授は「非常に不思議な地形であり、私たちの分野では
> 典型的な撓曲崖(とうきょくがい)と呼ぶ」「12万5千年前に平らなベンチが
> できた後、地下で逆断層が動いてたわんだということ以外では説明がつかな
> い」と7月13日に大阪で開かれた学習会で指摘をしている。
>  海の中を走る断層は、超音波などを使ってもその活動歴を正確につかむこと
> は不可能である。しかし地上に出ている地形を調べることは可能だ。
>  日本原燃は出戸西方断層と呼ばれる断層には活動の可能性がある「考慮すべ
> き断層」としているが、その他は一切影響がないもとしている。
>  しかしこのような姿勢は、柏崎刈羽の地震などでいくつも否定されてきた手
> 法だ。
>  原発や原子力施設は、大きな地震による影響が大きいのだから、活動する可
> 能性が低いとされるものであっても念のため考慮すべきとされている。とする
> ならば、再処理工場周辺の断層は、慎重に見るべきものだ。
>  渡辺教授がこの主張を学会で発表したところ、日本原燃は「いたずらに地域
> 住民を不安に陥れる科学的な根拠のない推論」と地元やホームページなどで反
> 論をしたが、渡辺教授は「透明性を確保しないやり方だ。どっちが不安に陥れ
> ているのかと正式に抗議文を出した」が、「全くなしのつぶて。こちらとの議
> 論を拒否している」と述べ、「否定できないものは考慮するというのが普通の
> やり方だが、確認できないものは否定するというやり方だ」と原燃の態度を批
> 判した。(美浜の会ニュース98号より)
>
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Last updated  2008年08月16日 08時10分29秒
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