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カテゴリ:戦争
連中はもうどんなことをしてもいいと思っている
エヴァ・バートレット エレクトロニック・インティファーダ/Live from Palestine 2009年1月3日 直前のF-16の爆撃で煙と土埃がもうもうと舞い上がる中、必死に避難する 一家がいる。ジャバリヤのパレスチナ赤新月社(Palestine Red Crescent Society:PRCS)の救急車受付には、恐怖におののきながら家か ら避難する住民たちからの電話が殺到している。新しい年。新たなナクバ (大災厄)。でも、この光景は目新しいものではない。イスラエルは今ま たガザを爆撃し、世界はその横で、ガザをぐるりと囲んでいる電流の通っ たフェンスや西岸地区を分断しゲットー化している壁とは無縁の、安全な フェンスの上にのんびりと座っている。のんびりと座って、これまでの長 期にわたる封鎖でほとんど死にかけていたガザの人たちをイスラエルが 次々と虐殺していくのを正当だと言っている。 今夜は救急車4台に同伴。昨夜は2台だった。救急車は、できたての瓦礫の 山を巧みによけながら、縫うように、人為的に作り出されたゴーストタウ ンの中、明りのいっさい消えた道路(ガザ中の道が同じような状態だ)を 走っていく。 こんなことはどう考えたってありえない、信じられない。皆殺しではない か。「連中はもうどんなことをしてもいいと思っている。気が狂いかけて いるんだ」と救急スタッフは言う。 家の残骸、モスク、学校、店の残骸。パニック状態で、死ぬのだけは免れ ようと避難する住民たちの姿がそこここに見える。前夜、またも多くの家 が爆撃を受けて、今朝から、さらに大勢の人が避難を始めた。私も多くの 残骸をまのあたりにした。今朝、イスラエル軍が撒いたビラに、集団的懲 罰として北部一帯を爆撃すると書いてあり、住民たちはそれを信じた。 今、ジャバリヤの複数のPRCSステーションにはどこにも明りはついていな い。つい先ほど停電してしまったのだ。寒さと闇の中、戸外の爆裂音は いっそう大きく響きわたる。 砲撃で立ち昇る刺激性の煙が空気を汚していく。戦闘機と戦車とブルドー ザーと戦艦で完全に包囲されているという感覚がどんどん強まっていく。 ガザ攻撃の最新ニュースが流れる。ガザ市のパレスチナ・モスクの近くの 孤児院が爆撃された。次はパレスチナ・モスクだと皆が口をそろえて言 う。すでに少なくとも10のモスクが破壊されている。今日のイブラヒー ム・アル・マカドマ・モスクの爆撃で死んだ人は11人、怪我をした人は50 人。死者も負傷者も果てしなく増えていく。 北西部からの、そして、この救急ステーションから遠く離れた東部からの 救助を求める電話は、返事ができないままにやり過ごさなければならな い。救急スタッフはICRC(赤十字国際委員会)経由でイスラエル相手に調 整をしなければならない。なんと痛烈な皮肉だろう。占領者はガザから出 る許可を与えず、占領者は侵攻し、その侵攻者は次々に人を殺し、重傷を 負わせ、そして、あろうことか、自分たちが殺し、怪我を負わせた人たち を救急車が搬送する許可を与える権限まで持っているのだ。 信じられないという思いが続いている。重い爆発音とアパッチヘリのプロ ペラ音も、夜の闇に撃ち込まれる銃撃のスタッカートも、結末のわからな いまま、どことも知れない標的を直撃したミサイルの炸裂音も、何もかも が、ただひたすら信じられない。 ・・・・・・ エヴァ・バートレットはカナダ人の人道活動家、フリーランサー。2007 年、西岸地区の各地に8カ月、カイロとラファ・クロッシングに4カ月滞 在。2008年11月に第3次フリー・ガザ運動の船でガザに到着したのち、現 地にとどまり、国際連帯運動(ISM)の一員として活動を続けている。現 在、ISMメンバーは、救急車同伴活動を実施し、イスラエルのガザ空爆・ 地上侵攻の目撃証言を現地から発信している。 翻訳:山田和子 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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