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連載小説 ラッブ・フォー・ラブ その9 廣龍
「婿取りの話はさておき、パパの状態なんだけど、もしかしたら手術出来るかも知れない」 「どうしたの?」 「午前中に、部長先生が見えて話してくれたんだけどね、原因と状態がほぼはっきりしたって。パパが倒れたときに打った後頭部に内出血が出来たんだって。その内出血が運動神経なんかを圧迫しているそうなの。その内出血の部分さえ取ってしまえば治っちゃうんだけど、その場所は神経が集中している所で手術が随分難しい所なんだってさ。原因ははっきりしたけど手術が難しいんじゃね……」 「じゃあ手術できないんじゃ……」 また華菜がにこりとする。 「ところが、そんな難しい場所でも上手に手術するお医者さんがいらっしゃるんだって。殆ど失敗がないらしい。しかしね、そのお医者さん、いつもはアメリカの病院にいらっしゃるらしくて、なかなか診て貰うことが出来ないらしい」 「そのお医者さんはアメリカ人かい?」 「日本人」 「じれったいね! 華菜……、私をからかってるの……。最終結果を先にお言い」 「年に何度か帰ってみえる時に、手術してもらえる可能性があるんだって。その前にこの病院からパパに関する情報を送って手術できるかどうか判断して貰うんだってさ。此処の部長先生の話だと以前、似たような患者さんの手術をされたそうで、『メイルでアメリカと話されたら如何ですか?』って」 「淑恵は知っているの?」 「明日にでもママと話してみるって、部長先生が……」 「そう、そりゃ良かったね。私も安心。その先生に手術してもらえたら良いね」 「『私も安心』って、養子がらみで?」 「そりゃーそうよ、猫の子を相談する訳じゃないんだから……」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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