|
カテゴリ:カテゴリ未分類
連載小説 ラッブ・フォー・ラブ その10 廣龍
「だとすると、何時になるか判らないわよ。パパの回復がどうなるか皆目検討がついていないんだから……」 「そりゃそうだよ。だから基本的にの話よ。 ところで、どうよ、お味の方は?」 「どれもこれも美味しいわ。今度教えてよ、料理の作り方……」 「何時でも良いわよ、あんたの時間がある時に。美味しいって言われると、たとえあんたからでも嬉しいわ。さぁ食べて食べて……。華菜ぁ、やっぱり、誰かに覗かれていない?」 「誰にも覗かれていないわよ。ところで伯母ちゃん、パパの従妹の平野珠璃さんって知ってる? お祖母ちゃんの弟さんの一人娘って言うんだけどね」 「知らないね。その人がどうかしたの?」 「アメリカから電話してきてさ……。日本で二世の人と知りあって、結婚してアメリカに住んでいたんだけど、ご主人が交通事故で亡くなったんだって。一人になってしまったんで、パパに色々相談したいんだって……」 「色々って?」 「判んないのよ、詳しくは。家に電話してきたらしいけどさ、誰も電話に出なかったんで、 会社に電話したらしいのよ。会社も珠璃さんが『私は従妹ですっ』って言っても何も教えてくれなかったらしいのよ。『事情があって休んでいます』って言ったらしいけど、『家に電話しても誰も出ませんでした。休んでいると言うのはどういうことですか。理由は何ですか』って問いつめたらしいの。すると、『此方から電話をかけさせます』と言ったらしいわ。そこまででも大騒動なのに、今度は会社から病院のママに電話があり、会社の人が事情を話すと、ママがアメリカへ電話する方法が判らないと私に電話かけてきたのよ。私の会社へよ。もう大変、ママ、興奮しちゃって。ちょっとぉー、伯母ちゃん! 私の話っ聞いてるの!」 静代は華菜の頭越しの視線を固定して、瞬きもせず、じっと何かを見つめている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|