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2009年01月23日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
連載小説  ラッブ・フォー・ラブ  その12   廣龍

静代と華菜はドアも閉めないで飛び出していった。暫くして、幾つもの乱れた足音が病室に戻ってきた。看護師を三人も連れて来ている。
「どこーっ? どこですか蛾は」
 看護士達はおっかなびっくりで部屋中を眺め回した。静代が先程の壁を指さした。
「何処にもいないじゃないですか。蛾なんて」
 年長の看護師が怒ったように言う。その顔はホッとした気持ちを隠せていない。
「あれっ、いないわね。窓から出ていったのかしら、おかしいわね。どうも済みません」
 静代は気まずい空気を和ますかのように笑いながら謝った。看護師達はお互いに頷きあいながら帰っていった。静代と華菜は呆然と立ち尽くした。華菜はベッドの脇に座り込み、達也の手を握り、もう一方の手で達也の腕を摩った。摩りながら、ゆっくり話しかけた。
「御免ね、慌てちゃって。蛾が怖かったのもあるけれど、鱗粉がパパにかかっちゃ大変だと思うと慌てちゃって……」
 達也の眼が微かに動いたような気がした。
「パパ、本当に御免ね……」
 華菜は達也の腕を摩り続けた。静代は華菜の横で眼を潤ませながら立ち尽くした。華菜の肩が震え始めた。「伯母ちゃん、ちょっとお願いね」華菜は顔を背けたまま、静代の返事も待たずに出ていった。静代は華菜が座っていた所に坐り、達也の手を取り、ゆっくりと腕を摩り始めた。
「良かったね、達也さん。華菜が良い娘に育って。普段は、気が強くて扱いにくい娘だなって思っていたけど、ちゃんとしなきゃいけないところはちゃんとしてたね。達也さんの事をちゃんと理解していて……」
 静代は涙声になるのを抑えきれないふうであった。達也の眼から一筋の涙が落ちた。

挿絵12





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Last updated  2009年01月23日 21時15分59秒
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