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連載小説 ラッブ・フォー・ラブ その14 廣龍
「華菜っ、洗濯物があったら出しときなさいよ。掃除の合間にやっとくから……」 「それくらい自分でやるわよっ」 シャワーを浴びた華菜が散歩に出た後、静代は食事の準備に取りかかった。静代はまるでその家の主婦になったみたいに手際よく家事を片づけていった。食事の準備の合間に掃除がほぼ片づいた。ダイニングとリビングの掃除が終わった時に華菜が戻ってきた。 「廊下と玄関の掃除を済ますからコーヒーでも飲んでなさい。終わったら食事にするからさ。私も一緒にお昼にするわ」 掃除が終わってダイニングへ戻ってくると華菜はまだ眼が醒めないような顔をしてソファーに座っていた。 「ほれ、テーブルに座って。食べるわよ」 華菜は緩慢な動きでテーブルに着き、静代が準備した食事をやはり緩慢な動きで食べ始めた。静代は華菜の横顔を眼で追いながら、テーブルの横に置いておいたトートバッグから風呂敷をだした。 「ねぇ華菜、これどおぅ……?」 「これって何?」華菜は横目で見る。 「これよ、この男性!」 「だから、その男性が何?」 緩慢な動きだった華菜の表情が変わった。 「華菜のお婿さんにどうかなって」 「お見合い写真って訳?」 「まぁ、そのような物だけど」 華菜は一瞬声を詰まらせて、 「だっ、だから伯母ちゃん。前にも言ったでしょう、パパの健康がはっきりするまではその件は考えないって……」 「考えないって言ったってあんたの歳は止まってくれないんだよ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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