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カテゴリ:戦争
ビルマの竪琴は、竹山道雄原作の同名小説を1956年と1985年の2回にわたり市川昆監督が映画化したもの。
1956年版の俳優を見てみると、三國錬太郎、安井昌二、浜村純、西村晃、北林谷栄、佐野浅夫、三橋達也、伊藤雄之助などのそうそうたるメンバーが名を連ねている。 特に黄門様役が二人も入っているなど特筆に価すべきことではあるまいか。 1941年の戦争開始と同時に日本軍は怒涛の勢いでビルマ領内深く侵攻し、瞬く間に全土を占領した。 しかし、その後連合軍の反抗に晒され、さらには、補給を全く考慮しない杜撰なインパール作戦等の失敗により、ビルマ国内に屍の山を築いていった。 ビルマ方面の参加兵力30万人のうち実に18万人が戦死し、日本軍が撤退したルート沿いに数多くの戦死者が遺棄されたことから「白骨街道」とも呼ばれた。 その悲惨な日本軍死者の有様を目にし、水島上等兵は恋しい日本への帰還を断念し、戦死者の慰霊に生涯を捧げることを決意したのである。 「おーい、水島、一緒に日本へ帰ろう」 これは、水島上等兵への戦友の呼びかけというだけではなく、自分達が生き残りそして故郷に帰ることができるのだという、歓喜の叫びでもあったのではなかろうか。 しかし、残念なことに、日本が第2次大戦でアジアの各地を侵略したため、2000万人を越えるかの地の人々に犠牲を強いたという視点がこの作品には全く欠落している。 被害者が日本兵だけであるような描き方は、戦争の悲惨さを伝えることは出来ても、日本がアジアで何のためにどのような戦争を実行するにいたったかという真実を伝えることは出来ないのである。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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