Sapphire Blue (Larry Carlton)
今日、明日はCDレビュー。この所、コンスタントにソロ作を発表し続けているLarry Carlton。新作「Sapphire Blue」(2003)は、前作「Deep Into It」(2001)に続き、Blues色の強いアルバムに仕上がっています。今回はかなり高得点ですよ。私的愛聴度:★★★★☆オススメ度:★★★★☆大人度 :★★★★★採点基準★★★★★:最高!★★★★☆:かなり良い★★★☆☆:普通★★☆☆☆:思ったより良くない★☆☆☆☆:別に聴かなくても良いかも☆☆☆☆☆:ダメだこりゃ"Room335"が収録されている「Larry Carlton」が発表されたのが78年。未だに高い人気を誇るこの曲の"335"とは、彼が愛用する"Gibson ES-335"というセミ・アコの名から取ったものです。ハイ・エッジが鋭く、でもウォームなArchedTopサウンドは、彼の年齢が増す毎に、老舗ギターメーカーの名機と共に包容力と含蓄がある、説得力に満ちたサウンドになってきています。「Fingerprints」(2000)では機械色の強いサウンドに、彼のギターがうまくマッチして、実に斬新な音を作り出したFusionアルバムとして高く評価されましたが、「Deep Into It」ではHornやKeyboardを表に立たせたサウンド作りのBluesyなFusionサウンドで、「Fingerprints」から180度ひっくり返った作品になっていました。最初にも書きましたが、今作も前作に近い形を取っています。ですが、内容としては今作の方が充実していると思います。前作はさらっと聴けて、後に何も残らない、"後腐れ無い"作品とでもいうような印象を受けたのですが、今作はビッグ・バンド風のHornセクションと、前作よりもアダルトな印象なのに、熱いEmotionを感じさせる楽曲が良い意味で"後を引く"作品となっています。実に久々ですが、各曲紹介行ってみましょう。1トラック目"Friday Night Shuffle"。とても軽快でダンサブルな一曲です。ビッグ・サウンドに絡むギターが気持ち良過ぎます。2トラック目"A Pair Of Kings"は、明るい表情の軽快な曲で、ある意味典型的なBluesです。1トラック目よりはギターが中心の音作りで、バックを支えるB-3が心地良いBluesyな印象を増強させています。ややシャープ気味のCarltonチョーキングも凄く気持ち良いです。3トラック目"Night Sweats"は、一気に大人のムードに聞き手を引き込むJazzyな雰囲気の一曲です。楽器の弾き手としては、こういう曲をどれだけ感情豊かに演奏できるかがひとつのStatusとなると思うのですが、やっぱりある程度の年季が入っていないと良い味が出ないものです。Middle-TempoのBluesBalladを格好良く演奏するのが私のひとつの目標です。(全然レビューになってない)4トラック目の"Sapphire Blue"は3トラック目よりもSlowでありながら、前へ前へと淡々と進行する力強さと、Bluesの持つ寂しさを同居させたような曲です。途中で聴く事が出来る6連オルタネイト・ピッキングは鬼気迫る迫力と、キャリアを感じさせる安定感とを同居させたすばらしいテンションを感じさせます。5トラック目"7 For You"はSynthが奏でるバッキングがとってもLarry Carltonのバッキング・コードっぽくて不思議な印象です。彼の多作品も聴かないとピンと来ないと思うのですが、全体的に狐につままれたような感じです。6トラック目"Slightly Dirty"。クウォーター・チョーキングと、シンプルなサウンドに、アクセントを与えるHornセクションやブルースハープが路地裏的というか、横須賀的というか、ドブイタ的というか、故郷を感じさせるようなサウンドで凄くお気に入りです。格好良い!7トラック目"Just An Excuse"はB-3のマイルドなミドルサウンドから、ギターのディレイ気味なメロディが綴る、Slow Bluesです。一言で言うと"格好良い爺さん"のイメージですかね。ラストではきっちり典型的なキメを披露してくれるあたり、ベテランの風格と自信をしっかり感じることができます。8トラック目"Take Me Down"。これは格好良いです。ブルース・ハープとエレアコとのデュオです。ZZ Topのような泥臭いBluesRockテイストを感じさせる曲で、即興性にあふれるスリリングな展開ながら、落ち着いた大人の雰囲気を常に醸し出しています。総合評価をしても、各曲毎に評価してもすばらしい出来の一枚です。Larry CarltonはどちらかというとLiveの方が良いかなと思っていたのですが、今作は是非ともオススメしたいです。Blues、Fusion、Jazzこれらの間を取るような一枚だと思ってもらえれば間違い無いと思います。