ISSと地上物
9月25日の撮影について。ISS(国際宇宙ステーション)は日没後数時間はとても明るく見えるので軌道を予め調べておけば撮影するのはそれほど難しくありません。難しくは無いのですが単体で撮ってもあまり面白くありません。超望遠でISSそのものの御姿を撮影できたらそれは素晴らしいのですがこれはこれでとても難しいです。単体で撮っても面白くないので他のものを添えて撮影します。次の画像は9月18日に夏の大三角形の近くを通った時に撮影したものです。アルタイルの右下の緑色の光は近くにあった街灯のゴーストです。こういう障害物もあるので事前にしっかり準備が必要です。ISSは右上から下に向かって飛んでいるのですが、撮影の最初の方(右上)の輝線がグチャグチャになっているのが分かると思います。撮影場所に到着した時はまだ明るくて指標になる星が見つけられなかったため、セッティングが撮影直前まで続いていたせいで結局撮り始めがおかしくなってしまいました。ISSの軌跡が破線になっているのはシャッターを数秒おきに開閉しているため閉じている瞬間が写っていないからです。シャッターを開きっぱなしにしていると黎明時のほんのり明るい空の光が蓄積されて全体的に真っ白になってしまいます。真夜中で真っ暗な場所であればシャッターを開きっぱなしにしておけるのですが、ISSは太陽光を反射して輝いているので日没から時間が経つと地球の影に入って見えなくなってしまいます。写ってさえいれば何でも良いなら簡単なのですが、綺麗に撮ろうと思うとこのように技術的に要求される事が増えてきます。さらに地上物との撮影は難しくなります。ISSが通過する方角や仰角を予測して、これを地上物がある風景に当てはめていきます。と言っても、基本的に空なので目標にできるものがありません。撮影日に近い日に星が出てくるまで待ってそれを指標にするのは良い作戦だと思いますが、ISSの通過予定時間に近い時間じゃないと星が動いてしまうので注意が必要です。画角以外に気を配らないといけないのはいろいろなものの明るさです。空の明るさ、地上物の明るさ、ISSの明るさ。これらがすべて飛ばず潰れずに写せる露出が要求されます。ひえー。18時頃の通過時はまだ空が明るくて極端な色調補正をしないと空の明るさに飲み込まれてしまってISSの軌跡が見えませんでした。余談ですが、画像の左から1/4くらいISSの軌跡のすぐ上にある白い線は流星です。この後でロケハンをしながら暗闇をうろうろする事になるのですが、その途中で同じような方角にも流星を見ました。18時の撮影結果をカメラでプレビューしても全然ISSが見えなかったので画角の外(上側)を通過したかもしれないと思って19時半の通過に向けて撮影条件を練り直します。ISSは地球上をぐるぐる回っているので1日に2~3回見える場合があります。星が見えるようになってきて、橋の2つの塔の間におおぐま座が見えたので撮影しておきました。星が見えるようになると方角の判断が容易になります。19時半の通過は北西方向に見え始めて北に消えていく軌跡になります。左側の塔が北西方向にあり右側の塔が真北に近い位置にあったので、2塔の上空にかかる軌跡を目標にします。18時の撮影時にいた場所は橋から近かったので、2塔を画角に収めるには超広角レンズを使うか、もっと遠い場所に移動する必要があります。前述の通り18時の撮影では高さ方向の画角が足りていない可能性を懸念していたので(実際には写っていましたが)、別の場所に移動して縦画像にする事にしました。(上のおおぐま座の写真は超広角レンズで撮影しています。)橋と星の位置を確認しながら適当な場所を探します。暗闇の中を移動する時は十分な灯りを用意して安全に気をつけましょう。ロケーションが定まったらセッティングを整えます。橋の明るさに合わせて露光時間を調整してスタンバイ完了。後は撮影するだけです。右側の塔の上に到達する前に消えてしまいました。あと、高さ方向の画角が足りないかもと思って縦画像にしましたがこれは無用でしたね(^^;;上の方が黒いばっかりの画像になってしまいました。いろいろな予測が要求されて難しいですが、チャレンジングで面白いです。前から思っていたのですが、夜の橋は綺麗ですね。撮影してみて改めてそう思います。ハマりそうです(^^;