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テーマ:おすすめ映画(4068)
カテゴリ:チェコ映画
このタイトルは知っていたけど、観るまでてっきり恋愛ものだと勘違いしていた。 1988年、少しずつ世界の民主化運動が活発になっていた頃のプラハ。ロウカは55歳の独身男性。かつてはチェコの交響楽団のチェリストだったが、今は墓銘修復や葬儀時の演奏をしてその日暮らしの生活を送っている。ある日友人からロシア人女性との偽装結婚の話しが持ち込まれる。お金に目がくらんでその話しを承諾するが、その女性は数日後5歳の息子コーリャを残し、恋人のいるドイツへ亡命してしまう。 置いて行かれたコーリャ。今まで女性をとっかえひっかえしてお金にもルーズだったロウカの生活は、コーリャと暮らす事で一変する。 初めはどちらとも言葉も通じずどうして良いかわからずにいるが、次第に慣れ親しんでいく様子がいい。子供は大人よりも順応しやすいのだ。チェコ語もどんどん覚えていく。 でもやはり子供、時々ロシアの言葉やロシアの話しをむしょうに聞きたくなったり、死んでしまったおばあちゃんにシャワーを電話にみたてて話したりしている。 子育ての経験もない愛想の悪いロウカ。でも次第にコーリャの父親のような気持ちになっていく。こわばっていた顔がコーリャと生活するうちにだんだん柔和になり、最後の方はまるで本当の親子のよう。 社会主義体制の当時の生活の大変さや、その崩壊という大きなうねりの中での様子を垣間見られた。 塔の街と言われるプラハの街並み。ロウカの部屋の窓から見える景色もとんがった塔がいくつもある。そして、ロウカも自分のアパートの最上階の部屋の事を”私の塔”と呼んでいる。とても美しいと聞くプラハ、いつか訪れてみたい。 コーリャがたまらなくかわいい、そして演技がすごい。あんなに巧い子役を見るといつも不思議でたまらない。どうやって教えるんだろう。教えてもなかなか良い演技をするのは難しいと思うが、そこが天才なのだろうか。 コーリャとの空港でのシーン。あのあっさり感がかえって胸を締めつける。 コーリャと暮らした事で温かい人間性を持てたと思われるロウカのラストシーン。 彼が本当に子供の父親になる日も近そうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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