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テーマ:最近観た映画。(40092)
カテゴリ:イギリス映画
≪ある家族を通して異文化を垣間見ることが出来るコメディタッチのヒューマンドラマ~でも暴力はいけません≫ 1971年のマンチェスターのとある町。パキスタン人のジョージは30数年前にイギリスに来て、今はイギリス人の妻エラと7人の子供達を家族に持ちフィッシュ&チップスの店を営んでいる。ジョージは子供達も立派なイスラム教徒に育てたいと頑固に厳しくパキスタン流のやり方で教育している。 長男をパキスタン式見合い結婚させようとしたジョージ。その結婚式の最中、何と長男は逃げ出してしまった。 この父親とにかく頑固なんです。父親の言う事は絶対という信念を曲げずに、妻や子どもたちの意見に聞く耳を持たない。逆らおうものなら暴力をふるうありさま。 彼はパキスタン大好き、イスラム教「命」みたいなところがあって、イギリス生まれの子供達からすればそれはちょっとうざったい。だから父親の見てない所では普通のイギリス人と同じように生活しているんです。キリスト教のパレードにも参加したり。 イギリス女性の悪口も平気で言って、息子達にはパキスタン女性と結婚させようとする。でも自分の妻はイギリス人。矛盾しているんだから。それにエラはどうも第二夫人で、パキスタンに第一夫人がいる模様。 海外に移住した1世たちは母国への思いというのはかなり強いものがあるらしい。自分のアイデンティティとかルーツを誇りに思うのは母国に住んでいるその国の人達以上かもしれない。そこでちょっと異常とも思える母国へのこだわりが出てきて、側から見ていると奇妙に感じたり滑稽に思えたり、と言う事になるのだろう。 時代は30年前が設定なので今は様子が違っているのだろうけど、移民に対する差別というのもあり、ジョージは所詮パキスタン人はパキスタン人だからパキスタンのやり方で行くのが一番と思っている節もある。これは映画なのでその辺はもちろん誇張されているのだろうが。 この作品は、アメリカ映画のギリシャ人移民家族を描いた『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』でもあまりに大袈裟に感じたのと同じような印象を受けた。 2世、3世になると生まれた国での影響は大だから、1世たちのようにはいかないんだけど、何とか母国の宗教や文化を教えよう、伝えていかなくては、という思いが強いのもわかる気がする。ただ、伝え方に問題があるなあ。 この脚本は名前からしてパキスタン人のように思えるからまんざら大袈裟でもないのか。でも、海外映画等で描かれる日本人が私達から見るとどうもしっくりこない、勘違いされているのでは?と思う事も多いので、パキスタンに住むパキスタン人が観たら、「それは違うよ」と言うかもしれない。 最終的にはどんなにジョージが威張ってみても、この家族ではエラが一番存在感があったような気がする。 宗教や文化の違いを通して、国とか家族とかのあり方が描かれていて面白かった。 牧師が通りを歩いている時にサッカーボールが飛んでくるのだが、とてもカッコ良くさっそうとそのボールを蹴り返し何事もなかったかのように歩いていく姿がちょっと印象に残った。 冒頭で流れる音楽がイギリスっぽくてとてもいい。 1999年 イギリス EAST IS EAST 監督:ダミアン・オドネル 脚本:アユーブ・カーン・ディン 出演:オーム・プリー、リンダ・バセット、ジョーダン・ルートリッジ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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