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カテゴリ:イタリア映画
≪大人の男女の特別な一日の恋が静かに、奥深く心に染み入ります≫ 共演作品の多いイタリアの名優ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの出演作。 タイトルロールが音楽無しで静かに進みます。そして急に昔の映像が流れます。第2次世界大戦直前ヒットラーがイタリアを訪れた歴史的な一日のある主婦の物語。 アントニエッタは、ムッソリーニ信望者の夫と6人の子供を持つローマに暮らす主婦。独伊協定が結ばれる日、ローマ市民参加の式典に夫と子供達は出かけていった。せっかくの式典だが山ほど残っている家事をこなさなければならない彼女は家に残ったのだった。 家事の途中ペットの九官鳥が逃げ出してしまい、捕まえる為にアパートのお向かいの棟に行き捕まえることに成功。そこにはガブリエレという男性が住んでいた。 ひょんな事から出会った二人なんだけど、アントニエッタは最初から胸騒ぎを覚えます。この人の事私は…。本当は死のうとしていたガブリエレは不意に彼女が訪れた事で死ぬことがバカらしく思えてしまいます。アパートの住人のほとんどは式典に参加していて、そこに残っているのはこの二人と管理人のおばさんだけ(のようだ)。 式典の様子を流すラジオ放送を思いっきりボリュームを上げて聴いている管理人。そこで交わされるアントニエッタとガブリエレの会話。 いつも家事に追われて疲れきっているアントニエッタに久々に嬉々とする瞬間がおとずれたのです。話したいけど話せない、もっと近づきたいけど近づけない。自分のやつれた表情を見せたくないと、バスルームで必死に髪型をカールさせるシーンがかわいらしい。 屋上でのシーンはドキドキさせられ、衝撃の告白を聞いてからはガブリエレを思わずののしるアントニエッタ。しかし、もはや心の通わなくなった夫との関係に心を痛めていた彼女には、ガブリエレの心の傷が突き刺さります。 イタリアにとっても世界にとっても特別な日、そしてそれはアントニエッタにとっても特別なおそらく一生忘れる事の出来ない日になった事でしょう。 ラスト、ガブリエレの姿を追った後「三銃士」の本をそっと食器棚に直し寝室に入っていくシーンは切ない。 ほとんどが二人の住居と屋上のシーンで繰り広げられ、オモリの釣り合わない電灯や「三銃士」の本と共に、彼らの心や動きをとても丁寧に描いた秀作。 一日が終わり静かに夜が更けて、見事な映画のラストを迎えます。 1977年 イタリア UNA GIORNATO PARTICOLARE 監督:エットーレ・スコラ 脚本:エットーレ・スコラ、ルッジェーロ・マッカリ、スウリツィオ・コスタンツォ 出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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