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テーマ:【BS映画の感想】(10)
カテゴリ:イタリア映画
≪大人達のエゴに振りまわされるのは結局子供たち。最後は彼女に同情してしまいました≫ この小説を高校生の頃読みました。 それは文庫本で、既に映画化された後に出版されたらしく映画の中の写真がところどころに掲載されていました。 当時の自分と同年齢の主人公が避暑地での恋を経験し別れていく話しで、映画化されている事はわかっていたので長年観たいと思っていましたが、当時はまだレンタルビデオショップもなく、その映画の情報はほとんどないままに来ました。 ところが先月たまたまBSの映画の予定を検索していたら『芽ばえ』の文字が。もうすっかり忘れていたこの本の事を思い出して嬉しかったですよー。あの映画が観れるなんて。 当初4月の3時くらいから放送の「懐かしの映画劇場」とかいうBS番組で放送される予定で録画セットしてたら急遽国会放送が始まってしまって『芽ばえ』の放映は無し。ショックでした。メールで問い合わせましたよ、ずっと待ってたんだから。そうしたら5月のミッドナイト映画劇場で放映予定だということでホント楽しみにしてました。 前置きが長くなりましたが、それで夕べ録画して今日観たわけです。 小説の内容ももうあやふやでしたから、初めて観る映画の内容も初めて知るのとあまり変わりません。 主人公のグェンダリーナはミラノから毎夏海辺の街に避暑に来ているお金持ちのお嬢さま。同じく夏の間他の街からこの街にやってきている同年代の男女といつも遊びに出かけます。その中に唯一この街の男のこオーベルダンがいます。 グェンダリーナは美しくてのびのび育った女のこです。でも相当なわがままで高飛車で自分の思いのまま振舞います。 私はこんなイヤな女の映画を観たくて長い事待ってたのか、と途中げんなりしてしまいました。 グェンダリーナは何不自由無く育ってきましたが両親の仲はもう長いこと悪く、ミラノに帰らずにしばらく母娘はこの街に残ることになります。いよいよ両親の間に決定的な事が起ころうとしています。グェンダリーナは離婚して欲しくない、何とか二人を仲良くさせたいと努力しますがどうしようもありません。外では明るく思うが侭に振舞っている彼女ですが、実は心に深い悩みを抱えているのでした。オーベルタンは優しく誠実な青年で、唯一彼女のことをわかってくれる存在です。 よくある青春、恋愛物語です。 親のエゴで二人の若者は親しくなり、そして別れる事になります。 映画を観終えてみれば、グェンダリーナのあの天衣無縫とも言える行動もまだ子供だからという部分もあるかもしれません。でも、両親の事やオーベルタンを想う過程で経験する様々な事柄が彼女を少しずつ大人にしていきます。 ラストは叉大人達の身勝手でグェンダリーナは心が引き裂かれる思いをします。片方では喜ぶべきことが起きたのに、皮肉にもその事で彼女の恋は突然終わってしまうのです。 十代の若者の恋を自然体で描きながら、残酷な現実も織り成されたいかにも50年代の良い作品でした。 1956年 イタリア/フランス GUENDALINA 制作:カルロ・ポンティ 監督:アルベルト・ラトゥアーダ 出演:ジャクリーヌ・ササール、ラッファエーレ・マッティオーリ、シルバ・コシナ、ラフ・バローネ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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