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カテゴリ:スペイン映画
≪スペイン内戦を背景にした 老教師と少年の切なくも感動の物語≫ 1930年代スペイン。喘息の持病があるため他の子供達より遅れて学校に通い始めたモンチョ少年は、先生がすぐにぶつと思っていて学校初日を緊張して迎えた。しかし老教師はとても穏やかでモンチョも先生と次第に心通わすことが出来学校にも慣れていく。 生徒たちを森へ連れて行き、蝶には舌がある事やオーストラリアの珍しい鳥ティロノリンコの事などを話してくれ、モンチョにとって先生は大切な人となっていく。 美しい自然の中で勉強できる子供達は幸せです。思えば私が小学生の頃は、先生よくは川や山の方まで課外授業として連れていってくれました。この年齢の頃に覚えた事って忘れないんですよね。ただ教科書を見て習うより、直にそのものを見たり触れたりする事でよりリアルに覚えています。この映画を観ながら小学生時代を思い出しました。のんびりとした良い時代だったと思います。 先生が学校を退職してからもモンチョと先生の友情は続きます。一緒に森へ出かけ虫を観察したり、先生がモンチョの恋の手助けをしてくれたりほのぼのとした時間が流れていきます。モンチョの家族も先生を気に入り信頼して、仕立て屋の父親は先生に服を作ってプレゼントするくらい喜びます。 途中モンチョの兄のエピソードや兄弟の音楽の話しも織り込まれてちょっぴりほろ苦く、でも穏やかな時間が過ぎていきますが、少しずつ忍び寄る内戦の恐怖。 そして突然悲劇は訪れます。共和派の人達がみんなの見ている前で両手を縛られ連れていかれる列のその中に大好きな先生もいるのです。モンチョの父親も共和派。しかしそれをひた隠し母親はわざとその列に向かって罵声を浴びせます。父親も同じように。モンチョにも母親は罵声を浴びせるように命令するのです。モンチョには意味は判っていませんが言われた通りにします。その時の先生の悲しそうな顔。連れていかれる車を追いかけながら罵声を浴びせ続けるモンチョ。しかしその声は最後には「ティロノリンコ!」と言っています。 小さな子供は時として残酷です。しかし、最後の「ティロノリンコ」の一言で先生にはモンチョの気持ちが通じたような気がします。 先生は「神が地獄を創ったのではなく人間が地獄を創る」と言い、モンチョの母親は「悪魔は天使の堕ちた姿」だと言います。 ラストシーンではその意味がわかった気がしました。残酷なのは子供だけではありませんね。むしろ保身に回る時の大人の方がもっと残酷かもしれません。 LA LENGUA DE LAS MARIPOSAS 1999年 スペイン 監督:ホセ・ルイス・クエルダ 原作:マヌエル・リヴァス 脚本:ラファエル・アズコーナ 出演:フェルナンド・フェルナン・ゴメス、マヌエル・ロサノ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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