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カテゴリ:イタリア映画
≪誰も私の話を信じてくれない~切ない大人のファンタジー≫
先日の『南極物語』を観て、何故かこの映画の事を思い出しました。私の大好きな映画『ニューシネマ・パラダイス』のトルナトーレ監督作品です。 1900年、とある豪華客船は、同時に多くの移民たちを乗せて大西洋を行き来していた。そんな中ダンスホールのピアノの上に置き去りにされた一人の赤ん坊。彼は1900(ナインティーンハンドレッド)と名付けられ、ダンスホールのピアノの音を毎日聴いて育つうちに、驚くべき才能を発揮する。彼のピアノは誰をも魅了し、夢中にさせた。 最初は孤児院に送られるかもしれないという事で船の中で隠されたように育ち、その後船を降りられる状況になってからは自分の意思で降りなかった1900.その彼が唯一降りようと試みたのは初めての恋によって。 レコーディングの際、船の小さな窓に映る少女横顔と静かで甘いメロディーがとても美しく、さすがにモリコーネと言う感じです。 多くのエキストラ、豪華な船中、当時の雰囲気を存分に出したセットや衣装などお金もかかっていそうですが、1900役のティム・ロスがすごく良かったです。彼は全くピアノは弾けないそうですが、ここでの彼の弾く演技は見事です。アップテンポの曲は思わず目を見開いて見そうなピアノさばき、本当に弾いているかのようでした。 船の中だけで生きた1900はいろんな人に出会い、多くの言語を覚え、世間の事は頭の中では何もかも知っているように思えます。しかし、彼は船を一度降りようとして降りなかった。結局、未知への世界へ踏み出す勇気はなかったと言う事です。 「ピアノの鍵盤は88と決まっている。無限に広がる鍵盤は演奏できない」とニューヨークの街を見てそこに一歩踏み入れる事を止めた彼。 「無限なのはピアノではなくそれを弾く人間なのだ」 だったら何故その無限な人間である彼は、陸を降りて生活するという可能性に挑戦しなかったのか。 ラストの選択はあまりに悲しくて呆然としてしまいます。 陸へ降りてからいろんな挑戦の末に結局ダメだった、というのなら納得も出来ますが… 好きな作品でおすすめなのですが、最後がどうしても納得がいかず、そこが私にとって『ニューシネマ・パラダイス』には及ばない作品、という事になってしまいます。 LA LEGGENDA DEL PIANIST A SULL'OCEANO / THE LEGEND OF 1900 1999年 イタリア/アメリカ 監督/脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ 原作:アレッサンドロ・バリッコ 音楽:エンリオ・モリコーネ、ロジャー・ウォーターズ 出演:ティム・ロス、ブルート・テイラー・ヴィンス、メラニー・ティエリー、ピーター・ボーガン、ビル・ナン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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