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カテゴリ:イギリス映画
≪19世紀のロンドンの雰囲気が楽しめるエンターテイメント作品≫
実はこの作品、私が観た初めての字幕映画です。当時小学校低学年の私は、たまたま叔母の家に遊びに行った時、同い年の従兄弟の学校の推薦映画だから一緒に観に行こうと誘われて行ったのでした。当時は2本立てが普通でしたから、着いたときにはもう1本のやはり洋画をやっていたのですが、それも『オリバー!』もミュージカル。その頃の私たちは字幕を追うにはまだ漢字もあまり読めずに、歌の歌詞も映画の内容もほとんど分からず私も従兄弟も『オリバー!』が始まってすぐに飽きて、映画館を出てしまったのです。だから暗い画面の雰囲気と、やたらと皆が歌っているぐらいの印象しかなかったんです。叔母が「やっぱり無理ね」と言っていたのを憶えています。(笑) それから数年後、『小さな恋のメロディー』でマーク・レスターやジャック・ワイルドがブレイクした時に彼らが『オリバー!』にも出ていた事を知り、何であの時最後まで観なかったのだろうと後悔しました。今ではマーク・レスターも「あの人は今」なんて番組に出てしまう位過去の人になりましたが、当時はマークに恋してましたからね。その後『小さな恋のメロディー』を思い出す時はいつも、貴重な作品をわざわざ観に行っておいて最後まで観なかったという後悔の念がずうっとあったのです。 ところが、最近WOWOWでやってくれたではないですか。嬉しくって小躍りしそうになりましたよ、ホント、オーバーじゃなくて。 19世紀のロンドン。救貧院で生まれ育ったオリバーやそこの子供達はいつも餓えていた。皆を代表しておかわり下さいと言ったばかりに、わずかのお金で葬儀屋に売られたオリバー。ある日そこを逃げ出した彼は、ロンドンの街中でドジャーという少年と出会い、彼の親方の所へ行く。だがこの親方は多くの少年達にスリをさせていたのだった。そして、オリバーにも早速初の仕事が与えられるのだが… ディケンズの有名な小説を1947年にデヴィッド・リーン監督により映画化され、舞台ミュージカルになり、それをキャロル・リード監督により映画化されたのがこの作品です。 私のかすかな記憶にあった暗い画面。当時のロンドンがきっとそうだったであろうと想像出来るような、子供達や親方が暮らすくすんだ色彩の貧民街、酒場や下町の雑多な様子が見事に再現されています。衣装ももちろんそうですし、上級と下級クラスの生活などはまず色からして違いを見せています。 ミュージカルのものをそのまま映画に使ったのかその辺は分かりませんが、今回観て、実際知っていたり聴いた事がある曲がたくさん出てきて驚きました。有名な曲を随分と生んでいたのですね。 原作を読んでいないのでこの映画の人物像とかリアリティは全く分かりませんが、オリバーは主体性のない周りに流されるままに生きているように見受けられます。しかし、元々生まれは良い為にどことなく品のある少年なのですが、その辺りと弱々しく頼りなさげな雰囲気がマーク・レスターに持って来いの役柄だと思います。 オリバーよりも、ここでは親方やドジャー、ビルと言う悪党やナンシーと言った周りの人物がとても個性的で面白く描かれていますし、俳優達が芸達者です。 今回初めて知ったのですが、この作品1968年のアカデミー賞に12部門ノミネートされ6部門でオスカーを受賞しているのですね。そんな名作だったとは、改めて驚きです。 そのわりには今までテレビ放映の記憶がないのですが。 この当時既に16,17歳だったジャック・ワイルドが10歳位にしか見えないのも驚き。でもジャック、亡くなったんですね。まだ若いのに残念です。今回この映画を観ながら、ジャックはもういないんだと思うと寂しくなりました。 もしかしたら原作とは違うのかもしれませんし、ちょっと長めではありますが、美術、セット、衣装、音楽、そして個性豊かな俳優陣のエンターテイメントを楽しめます。多人数のダンスシーンはこれぞ、ミュージカル、と言った感じです。 OLIVER! 1968年 イギリス 監督:キャロル・リード 脚色:ヴァーノン・ハリス 原作:チャールズ・ディケンズ 音楽監督:ジョン・グリーン 詞・曲:ライオネル・バート 美術:ジョン・ボックス 出演:ロン・ムーディー、マーク・レスター、ジャック・ワイルド、オリバー・リード、シャニ・ウォリス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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