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カテゴリ:イギリス映画
≪フィレンツェの街並みを見渡せる眺めのいい部屋~そこから恋ははじまった≫
20世紀初頭、イギリスの良家の令嬢ルーシーは、年の離れた従姉のシャーロットをお目付け役にしてフィレンツェに旅行をした。イギリス人が多く利用するペンションだが、彼女達の部屋はアルノ川に面した眺めのいい部屋ではない事にシャーロットは苦情を言っていた。それを聞いたエマソン氏とその息子ジョージは自分達のアルノ川をのぞむ部屋と交代してもいいと申し出てくれるが… 19世紀から20世紀初めのヨーロッパの上流階級のしきたりや考え方などがよく分かる作品です。 ただこのルーシーの家も、ものすごく上流と言うわけでもなさそう。中流の上か上流の下、と言うところでしょうか。上流と言うことを意識した硬さを持ってはいるものの、上流階級独特の鼻持ちならない嫌な雰囲気と言うのでもありません。 ルーシーは本当は情熱的な女性なんだろうけど、自分はそれに気付いていないし周りの多くの人もそうは思っていません。ところが旅先で出逢った自由な考えを持つジョージの出現で、自分の中にあった小さな情熱を図らずも垣間見てしまったルーシー。 ストーリーとしてはありがちな話ですが、なんと言ってもフィレンツェや英国の美しい風景、衣装や美術を堪能できて、あの時代のものは何となく好きで観てしまうのも、こういうアンティークな雰囲気に浸れるから、という理由もあります。 主人公の2人はそんなに好みの俳優ではないけれど、脇の、あのダニエル・デイ・ルイスが!って言うようなコチコチの絵に描いたような堅物を演じているのに驚きました。ここでの彼は堅すぎてそれがユーモラスです。 それからマギー・スミス。彼女もこの時代の役ははまりどころですが、どちらかというと彼女があの時代の女性を演じると、頑固で気位の高い人が多いのですが、ここでの彼女は「かわいそうなシャーロット」と呼ばれ、いつも自分のやった事を悔いて恥じていて、おまけに水の出ない部屋に住んでいるまさしく「プアーシャーロット」なのです。でもシャーロットも又堅い人なのですよね。その堅さゆえにちょっと踏み外すと何ともいえないおかしさがこみ上げてきます。 D.Dルイスやマギー・スミスはじめ、脇を固める人たちがすごくいいです。 ルーシーの最後の方の心の変化がもう少し詳しく、リアルに描かれていたらもっといいのだけど、それでも上質の映画を見せてもらったと言う感じです。 ラストシーンは、まさにタイトル通りでした。 オペラの「わたしのお父さん」も効果的です。 A ROOM WITH A VIEW 1986年 イギリス 監督:ジェームズ・アイヴォリー 脚色:ルース・ブラヴァー・ジャブヴァ-ラ 原作:E.M.フォスター 音楽:リチャード・ロビンズ 美術:ジャンニ・クァランタ、ブライアン・エクランド・スノウ 衣装:ジェニー・ビーヴァン、ジョン・ブライト 出演:ヘレナ・ボナム・カーター、ジュリアン・サンズ、マギー・スミス、ダニエル・デイ・ルイス、デンホルム・エリオット、サイモン・カロウ、ジュディ・デンチ、ルバード・グレイブス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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