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カテゴリ:その他の国の映画
≪老女と少年とのロードムービー≫
BSのサンダンス映画祭特集で観た作品で、『モーターサイクル・ダイアリーズ』の監督です。 ブラジル、リオの中央駅で字が書けない人の為の代書人として手紙を書いている元教師の初老の女性ドーラ。ある母子がやってきて息子の為にその父親への手紙の代筆を頼んだが、その直後に母親は交通事故で死んでしまう。9歳の少年ジョズエは一人ぼっちとなり、ドーラは彼の父親捜しの旅に付き合わされる羽目になる。 ドーラはかなり悪人です。手紙を代筆してもそれを査定して実際は出さない手紙の方が多いのです。ジョズエの父親捜しの旅に付き合うのも驚きの理由があり、その旅の途中で引き起こす事柄も「それでも元教師?!」と言うようなことばかり。しかし、真の悪人ではないからジョズエに付き合い、憎まれ口をたたきながらも旅の最後まで付き合うのですが。 ただ、代書人という職業が成り立ったり、ドーラのような悪行をしなければ生活をしていけないというところがあるのがブラジルの一部なのだろうかと思うと、そこで生きていかなければならない人たちの厳しさを感じます。駅の売店で品物を盗んだ男が逃げ惑うシーンが出てきますが、追っていった男達は容赦なくその犯人を射殺します。警察に届けるでもなく無言で射殺… 旅の途中のいろんなハプニングに、人生は甘くない、と言うことがイヤと言うほど思い知らされます。反発し合いながらも旅を続けていくうちに母子のような関係を築いていくドーラとジョズエ。 ドーラがジョズエに「いつかあなたが私を忘れるのが怖い」と言うシーンが切なくてたまりません。「私も父に会いたい。やり直したいのよ」という台詞も、今は亡き父親との関係を悔いている彼女の気持ちが哀しい。 あまりに何もない荒涼とした土地を延々とバスで乗り継いでいかなければならない広大な国土。 貧しいながらも神を信じただひたすら祈る人々。 考えもつかないような生活をしている人がいるものだ、と改めて知らない事がまだまだたくさんあるのだと言う事も思い知った映画でした。 ドーラとジョズエの心温まる旅の終わり。 もう会うことはないかもしれない、でも会いたいときは写真を見ればいつでも会える。 ラスト、熱いものがこみ上げてきました。 1998年ベルリン映画祭 金熊賞受賞 CENTRAL DO BRASIL 1998年 ブラジル 監督:ウォルター・サレス 脚本:ジョアン・エマヌエル・カルネイロ、マルコス・ベルンステイン 出演:フェルナンダ・モンテネグロ、ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ サウンドトラック お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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