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カテゴリ:その他の国の映画
≪自分の国で生きることが難しい人たちへの人間賛歌と思いたい≫
邦題が何とも興味をそそられました。苺にチョコレートとくれば私の大好きなものなんで、どんな映画なのだろうと興味がわくと言うものです。キューバ映画ってあまりお目にかかれません。これは私が観た初めてのキューバ映画です。 これがなかなか佳い作品でした。 失恋して傷心の共産主義者の大学生ダビドがチョコアイスを食べていると、ホモセクシャルらしい青年ディエゴから声をかけられる。彼はイチゴアイスを注文しておいしそうに食べていた。何かと言いくるめられディエゴの家に連れて行かれたダビド。大学の革命仲間ミゲルにディエゴの事を話すと、ミゲルはディエゴを反革分子に違いないからもっと彼の身辺を探るようにとダビドに言う。 最初ディエゴがダビドに言い寄って来た時は、あまりに見え見えでしかもねちっこいのでちょっと引いてしまいました。それはもちろん映画の中のダビドも同じ。しかし、ディエゴの所に通ううちに、彼の芸術に対する情熱と人間性に次第に惹かれていきます。 この時代設定はいつかはよくわかりませんが、ビートルズの初期の頃のポスターが貼ってあったりするんです。でもだからと言って60年代の事かはわかりません。車で判断しようにも、今でもああいう車が走っているような気もするし。 キューバと言えばカストロ将軍。革命によって男女、人種などのあらゆる差別が解消され皆平等かと思いきや、同性愛に関しては相当強い偏見があったようです。このダビドもゲイであるが故に、そしてその事がもとでリベラルな考えにもなったのでしょうから、そのあたりが世間からも認められずブラックリストに載ったりしてしまうのです。彼のような人間にとってはとても生き辛いキューバ。 心底共産主義に傾倒するダビドは最初ディエゴに反感を覚えますが、ディエゴも国を愛している事には変わりなく、それを感じてディエゴから教えてもらったいろんな文化に触れて外の世界の何かを感じるのです。 私が惹かれた邦題は、苺が女性でチョコが男性の喩えだと思われますが、一党独裁の国家であることには違いないので、検閲とか難しいでしょうにこのような映画がよく作られたものだとちょっと驚きです。 ラストシーン、わかっちゃいるけどディエゴの想いを思うと切なくなります。 でも、共産主義国でありながらキューバと言う国は他の社会主義、共産主義国とは全然違うおおらかさを感じます。ラテン系の国民、黒人、混血というお国柄でしょうか。キューバンミュージックを聴けば、私のありふれた共産主義国のイメージは飛んでしまいます。 FRESA Y CHOCOLATE 1993年 キューバ/メキシコ/スペイン 監督:トマス・グティエレス・アレア 共同監督:ファン・カルロス・タビオ 脚本/原作:セネル・パス 出演:ホルへ・ペルゴリア、ウラディミール・クルス、ミルタ・イバラ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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