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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:日本映画
≪恋とケンカに明け暮れる日本人と在日朝鮮人の青春≫
昨年度の映画賞をかなり多くさらった話題作でしたね。井筒監督はテレビのコメンテーターとして見る事はよくありますが、監督の映画はこれが初めてでした。 1968年学生運動が盛んだった頃の京都。日本の高校と朝鮮高校の生徒達は毎日のようにケンカをしていた。康介はケンカとは無縁の学生だったが、偶然に見かけた朝鮮高校の女子生徒に一目ぼれしてしまった。 この時代の事はボヤーッとした記憶しかないので何とも言えませんが、この映画の中の事はあの時代、ある場所では実際に起こっていたような事だったと聞いたことがあります。だとしたらちょっと凄まじいものがあります。でもバスを倒してしまったり毎日のように乱闘騒ぎが起こるなんて事は信じ難いのですが、それも事実が含まれているのか過剰演出かはわかりません。「パッチギ」と言う言葉がハングルで「頭突き」の意味だそうで、なるほど頭突きをよくしてましたね。暴力シーンが激し過ぎます。 でも、「イムジン河」は良い歌です。南北朝鮮半島を流れるイムジン河。渡りたいけど渡る事はできないという思いが、同じ京都に住んでいながら在日朝鮮人の住む町と日本人の住む町を鴨川が隔てている。康介の好きになった人がたまたま朝鮮人で、その事は日本人からも朝鮮人からもなかなか受け入れてはもらえない。朝鮮人に好きな人が出来、友人も出来て彼らの事をわかったつもりでいたけど、彼らの歴史や悲しみを心底理解はしていなかった。どうしようもない気持ちで彼が鴨川にギターを投げ捨てるシーンは胸が張り裂けそうでした。 私より一回り年齢が上の人にとってはノスタルジーを掻き立てられる作品かもしれません。 劇中流れる『悲しくてやりきれない』は知っていますが、この映画の中であの曲が流れてきた時は感情移入してしまってダメでした。 過剰な暴力シーンはちょっと苦手でしたが、はつらつとした若手の俳優達にとても好感が持てました。もちろん若手だけでなく脇を締めるベテラン俳優達の存在感も又効いています。 オダギリジョーのキャラがユニークで面白く、彼にピッタリの感があります。あの人すごく自由人でした。そんな自由さもあの時代にはあったのでしょうね。 2004年 監督:井筒和幸 脚本:井筒和幸、羽原大介 音楽:加藤和彦 出演:塩谷瞬、沢尻エリカ、高岡蒼佑、楊原京子、小出恵介 スタンダード・エディション プレミアム・エディション お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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